QOLの向上をめざしたがん治療法の開発研究

文献情報

文献番号
200400462A
報告書区分
総括
研究課題名
QOLの向上をめざしたがん治療法の開発研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
吉田 茂昭(国立がんセンター東病院)
研究分担者(所属機関)
  • 林  隆一(国立がんセンター東病院)
  • 井本  滋(国立がんセンター東病院)
  • 名川 弘一(東京大学大学院医学系研究科)
  • 齊藤 典男(国立がんセンター東病院)
  • 松岡 直樹(国立がんセンター中央病院)
  • 内田 淳正(三重大学医学部 整形外科)
  • 中塚 貴志(埼玉医科大学 形成外科)
  • 佐々木 寛(東京慈恵会医科大学 産婦人科)
  • 山岸 久一(京都府立医科大学大学院医学研究科)
  • 荒井 保明(国立がんセンター中央病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
66,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
多くのがん治療においては有害事象を避けられない。このため、がん患者は常にQOLを犠牲にしながら根治を得ていると言える。また、不幸にして非根治となった場合は、がんの病勢進行に伴う様々な身体症状の出現が、がん患者のQOLを著しく障害し、精神的な苦痛を一層助長する結果を招来する。本研究はこの様ながん患者の身体機能の低下に由来するQOLの障害を最小限にとどめるための様々な治療法を開発することによって、がん患者の社会的復帰、あるいは日常生活の質の向上に寄与することを目的としている。
研究方法
研究の方向性は以下の二点に大別される。一つは、切除可能例に対して根治性を犠牲にせずに機能温存や臓器温存を可能とする治療法の開発であり、他の一つは、がんの治療あるいは病勢進行に伴って損なわれる患者のQOLの障害を最小化するための各種治療法の開発である
結果と考察
今年度は研究の初年度にあたることから、これまで各班員が行ってきた研究成果を総括する中で、新たな方向性を探ることとした。様々な成果が示されたが、中でも、①下咽頭がんの部分切除による喉頭機能温存術の開発(=喉頭温存手術の適応拡大)、②前立腺浸潤を伴う進行下部直腸癌に対する膀胱・肛門温存手術の開発(=術後QOLの著しい低下が不可避な骨盤内臓全摘術の無用化)、③食道がんに対する根治的放射線化学療法後の再発例あるいは治療不十分例に対する内視鏡的サルベージ治療法の開発(=進行がんに対する根治的臓器温存療法の実現)、④神経再生管の開発と臨床応用(=神経再生手術の実現)、⑤IVR技術の多施設共同臨床試験の開始(=身体的QOLの向上をendpointとする治療法の開発)などは今後の展開が大いに期待された。
結論
機能温存手術や臓器温存療法はがん患者の身体的QOLの向上に寄与し得るが、手技の安定化(標準化)と根治性の評価が課題である。また、手術や病勢の進行によって招来される患者QOLの障害についても、これを軽減する様々な支持療法の開発が可能である。この場合、生存をendpointとしていないことから第Ⅱ相比較試験でも有効性評価が可能である。その意味で臨床試験の合理的な設定が課題と言える。

公開日・更新日

公開日
2005-05-27
更新日
-