新しい薬物療法の導入とその最適化に関する研究

文献情報

文献番号
200400458A
報告書区分
総括
研究課題名
新しい薬物療法の導入とその最適化に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
西條 長宏(国立がんセンター東病院)
研究分担者(所属機関)
  • 西尾 和人(国立がんセンター研究所)
  • 戸井 雅和(東京都立駒込病院)
  • 掛谷 秀昭(独立行政法人理化学研究所)
  • 田村 友秀(国立がんセンター中央病院)
  • 福岡 正博(近畿大学 医学部)
  • 桑野 信彦(久留米大学)
  • 杉本 芳一(共立薬科大学)
  • 前原 喜彦(九州大学大学院)
  • 南 博信(国立がんセンター東病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
66,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
がん細胞に特異性の高い分子を同定するとともに、これを標的とした特異性および治療効果の高い治療法の開発を行う。非臨床・臨床研究の過程において研究段階の治療法の最適化を目指し、薬理学・薬力学、Molecular correlative studyの研究などを遂行する。
研究方法
ゲフィチニブ感受性を左右する変異EGFRの分子生物学的性状を分析するとともに耐性株を用い耐性化因子を解析する。トポイソメラーゼ阻害剤のトランスポーターとして知られるBCRP阻害による治療効果増強を検討する。tsFT210細胞を用い細胞周期作用薬の構造活性相関研究を行う。これらの薬剤の標的分子を同定する。乳がん、胃がんにおける抗悪性腫瘍薬の抗腫瘍効果、生存期間等を予測する遺伝子、蛋白質の発現を検討する。臨床的観察に基づき薬剤代謝酵素の活性を予測し薬剤の至適投与法・投与量を確立する。
結果と考察
1)EGFR遺伝子のExon19に欠失を有する非小細胞肺癌株PC-9はゲフィチニブに対し高い感受性を示した。PC-9由来の15塩基欠損EGFRの遺伝子導入細胞はEGFR特異的チロシンキナーゼ阻害剤AG1478、VEGFR-EGFR dual阻害剤ZD6474に対しても高い感受性を示した。欠損型EGFR導入細胞では自己リン酸化の亢進を認め低濃度のチロシンキナーゼ阻害剤によって抑制された。
2)トランスポーターBCRPおよびP糖蛋白のタンパク質発現低下及び機能低下に関与するSNPsを2個ずつ同定した。種々のエストロゲン、抗エストロゲン、フラボノイド、キナーゼ阻害剤、ゲフィチニブがBCRP阻害作用のあることを見出した。これらの薬剤はトポイソメラーゼ阻害剤耐性を克服した。
3)主として微生物代謝産物由来の新規細胞周期阻害剤の探索を行いトリコスタチン類、ETP、フォスミドシン、ルシラクチンなどをえてきた。エポラクトンの分子標的の候補としHSP60を同定した。
4)治療前ビリルビン値はCPT-11投与後の白血球減少の予測因子となること、およびこの現象はUGT1A1機能を反映したものであることを示した。
結論
がん細胞により特異性の高い分子の同定によってがん特異的治療効果が期待される。抗腫瘍効果に直接影響を与える分子の探索と治療効果の相関の検討により至適治療法の確立が可能になると思われる。

公開日・更新日

公開日
2005-04-18
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2006-02-03
更新日
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