癌の新しい診断技術の開発と治療効果予測の研究

文献情報

文献番号
200400454A
報告書区分
総括
研究課題名
癌の新しい診断技術の開発と治療効果予測の研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
金子 安比古(埼玉県立がんセンター研究室)
研究分担者(所属機関)
  • 林 慎一(東北大学 医学部)
  • 角 純子(埼玉県立がんセンター研究室)
  • 山口 研成(埼玉県立がんセンター病院)
  • 土屋 永寿(神奈川県立がんセンター臨床研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
16,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
+12および16q-染色体異常とWT1, IGF2異常との関係を調べ,ウイルムス腫瘍(WT)の発生機構を解明する。乳癌の個別化内分泌療法のために、エストロゲン(ES)応答性アレイチップやES反応性GFP導入細胞による診断法を開発する。血清NM23蛋白質を測定し予後との関係を調べた。その高値患者の予後が不良な理由を明らかにする。癌患者の血漿変異DNAを測定する。肺癌において,癌関連遺伝子異常を分析し,臨床病理学的特徴との関係を示す。
研究方法
WT39例を対象にCGH・染色体, WT1, IGF2のLOIとLOH分析を行った。ES応答性カスタムアレイチップと3次元アレイチップを作成した。癌細胞近傍の間質細胞の評価系を確立した。乳癌患者413例の血清NM23蛋白質をELISA法にて測定した。NM23蛋白質を正常血液細胞と白血病細胞に添加し,増殖やサイトカイン発現を調べた。癌患者血漿から,純度・回収率の高いDNA抽出法を確立し,KRASとBRAF変異の検出系を開発する。非小細胞肺癌347例のP53変異,KRAS変異を分析する。(倫理面への配慮)研究内容については、埼玉県立がんセンター倫理委員会の承認を受けた。
結果と考察
WTをWT1異常群,IGF2 LOH群,IGF2 LOI群,IGF2 ROI群に分類した。+12と16q-の頻度はIGF2 LOI群に高かった。11トリソミー化は腫瘍化の妨げになるので,IGF2 LOIにより増殖を促進したと推測する。乳癌内分泌療法の効果を予測する蛋白質を発見した。間質細胞によるESの活性化は患者により様々であった。乳癌患者の血清NM23蛋白質を測定したが高値例はなかった。NM23蛋白質で処理した正常血液細胞にはサイトカインが誘導され,それが白血病細胞の増殖を促進した。変異DNA比率は膵癌の進行によって増加した。肺扁平上皮癌のP53変異の有無は年令,性,分化度,病期,生存率と関係しなかった。
結論
WTはWT1,IGF2,その他の異常で発生する.乳癌内分泌療法の効果予測のためにカスタムアレイ,3次元アレイ,間質細胞の評価系を開発した。NM23蛋白質は正常細胞と白血病細胞のサイトカイン発現を修飾し,その増殖を促進する。癌の進展に伴い血漿の変異DNA比率は増加する。肺癌のP53変異の有無は臨床病理像と関係なかった。

公開日・更新日

公開日
2005-04-11
更新日
-