医療費削減と患者負担軽減をめざした癌の新しい分子遺伝学的診断法の開発

文献情報

文献番号
200400453A
報告書区分
総括
研究課題名
医療費削減と患者負担軽減をめざした癌の新しい分子遺伝学的診断法の開発
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
森 正樹(九州大学生体防御医学研究所)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
24,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
個々の患者の転移予測が可能になれば抗癌剤治療に要する医療費の軽減と、患者にとっては副作用の回避が実現する。患者の選別法が樹立できれば、医療経費の削減とまた患者負担の軽減に大きく貢献するものと考える。
微量癌細胞の臨床的意義の解明と術中迅速診断:微量癌細胞が血中、所属リンパ節、骨髄に存在することは広く認識されるようになった。しかし現在のところ、その臨床的意義は明確とはいえない。血中、骨髄中の微量癌細胞存在の臨床的、意義付けおよびそのevidenceの確立のためには多数例の解析が必要であり、このため2000例規模の症例解析を行いたい。
研究方法
1)症例収集:適切と思われる全患者に本研究を説明し同意を十分に得た後に、骨髄、末梢血の採取に応じていただき、手術室で全身麻酔施行後、骨髄液と末梢血液をそれぞれ採取した。

2) 検出と解析
(1)検出はHybridization法によるリアルタイムRT-PCR法を2回実施した。標準遺伝子はGAPDH、標的遺伝子はCEA、CK7, CK19とし、CEAに関しては2回の解析で両者の誤差範囲が50%以上認められた場合は3回目を施行し、正しい値を求めた。
(2)CEA値をCEAコピー数とGAPDHのコピー数の比で求めた。陰性コントロール症例群によりcut off値を決定のうえ、実際の臨床検体を解析した。
結果と考察
平成16年度末で合計1714例(乳癌653例 食道癌12例 胃癌965例 大腸癌42例 その他16例 健常コントロール26例)に到達しており、さらに本年度で2000例を越える症例分のサンプルを集積することは確実である。
結論
2000症例を集積中であるが、乳癌症例に関しては、末梢血液中における微量癌細胞の存在診断が臨床的に有意義である可能性が示されている。胃癌に関しては、末梢血液および骨髄ともに、個々の症例の臨床病理学的因子・悪性度とは無関係であり、転移能を規定する、真の癌細胞を同定し、規定する諸条件の構築が今後の最重要な課題であると考えている。

公開日・更新日

公開日
2005-04-13
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2006-02-03
更新日
-