文献情報
文献番号
200400449A
報告書区分
総括
研究課題名
がん検診に有用な新しい腫瘍マーカーの開発
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
山田 哲司(国立がん研究所(化学療法部・腫瘍プロテオミクスプロジェクト))
研究分担者(所属機関)
- 前川 真人(浜松医科大学医学部(臨床検査医学講座))
- 中山 淳(信州大学医学部(病理組織学講座))
- 佐々木一樹(国立循環器病センター研究所(薬理部))
- 近藤 格(国立がんセンター研究所(腫瘍プロテオミクスプロジェクト))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
56,240,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
近年急速に進歩したトランスクリプトームやプロテオーム等のバイオテクノロジーの先端技術を応用し、従来の概念とは全く異なる腫瘍マーカーを開発し、がん検診に応用する事で、肺がん、スキルス胃がん、膵がん等の難治がんの早期発見による克服を目指す。
研究方法
下記の1から4のアプローチにて難治性の高い膵がんを中心として新規腫瘍マーカーの検索を行った。
1)プロテオーム解析を用いた腫瘍マーカーの開発
2)糖鎖遺伝子をターゲットとした分子診断法の開発
3)がん特有の遺伝子alternative splicingの検出
1)プロテオーム解析を用いた腫瘍マーカーの開発
2)糖鎖遺伝子をターゲットとした分子診断法の開発
3)がん特有の遺伝子alternative splicingの検出
結果と考察
1)プロテオーム解析を用いた腫瘍マーカーの開発
SELDI- MS法に精密なハイブリッド型四重極質量分析装置を使用し、新たに開発したピーク検出アルゴリズムを用いることで、再現性に優れる定量解析が可能となった。機械学習法を行い、がん患者に固有に見られるタンパク質発現パターンを同定した。このパターンは膵がん患者33例と健常者45例の血漿を判別率91.0%(71/78)と高精度に診断できた。
2)糖鎖遺伝子をターゲットとした分子診断法の開発
膵がん患者から採取された末梢血の単核球分画におけるα4GnT mRNAの発現量を定量PCR法で解析した結果、55例中42例 (76.5%)が陽性であった。
3)がん特有の遺伝子alternative splicingの検出
①肺小細胞がん特異的なACTN4遺伝子のsplice variantの発見
肺非小細胞がんや他臓器の腫瘍、精巣以外の正常組織には発現がみられず、肺小細胞がんに特異性が高い腫瘍マーカーであると考えられた。
②PTCH1遺伝子のalternative splicing
4種類のsplice variantの内1種は大腸がん患者検体13例中 8例(62%)で腫瘍特異的に発現していた。
SELDI- MS法に精密なハイブリッド型四重極質量分析装置を使用し、新たに開発したピーク検出アルゴリズムを用いることで、再現性に優れる定量解析が可能となった。機械学習法を行い、がん患者に固有に見られるタンパク質発現パターンを同定した。このパターンは膵がん患者33例と健常者45例の血漿を判別率91.0%(71/78)と高精度に診断できた。
2)糖鎖遺伝子をターゲットとした分子診断法の開発
膵がん患者から採取された末梢血の単核球分画におけるα4GnT mRNAの発現量を定量PCR法で解析した結果、55例中42例 (76.5%)が陽性であった。
3)がん特有の遺伝子alternative splicingの検出
①肺小細胞がん特異的なACTN4遺伝子のsplice variantの発見
肺非小細胞がんや他臓器の腫瘍、精巣以外の正常組織には発現がみられず、肺小細胞がんに特異性が高い腫瘍マーカーであると考えられた。
②PTCH1遺伝子のalternative splicing
4種類のsplice variantの内1種は大腸がん患者検体13例中 8例(62%)で腫瘍特異的に発現していた。
結論
膵がんの早期診断に応用が期待できる血漿タンパク質を同定した。今後は鑑別が問題となる慢性膵炎症例などの血漿を含めて症例数を増やし、これまでの成果の普遍性を検証する必要がある。
公開日・更新日
公開日
2005-03-31
更新日
-