文献情報
文献番号
200400437A
報告書区分
総括
研究課題名
放射線障害に基づく発がんの分子機構の解明とその予防・治療への応用
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
安井 弥(広島大学(大学院医歯薬学総合研究科))
研究分担者(所属機関)
- 田原 榮一((財)放射線影響研究所)
- 中地 敬((財)放射線影響研究所)
- 江口 英孝((財)放射線影響研究所)
- 楠 洋一郎((財)放射線影響研究所)
- 神谷 研二(広島大学)
- 宮川 清(広島大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
22,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
放射線障害に基づく発がんの分子機構を分子病理学的、分子疫学的、分子生物学的解析を通じて解明し、それを予防・治療に応用することを目的とした。
研究方法
1)遺伝子発現解析による放射線関連固形がんに特異的な遺伝子の同定では、胃がんについてSAGEライブラリーに基づき、オリゴDNAカスタムアレイを作成し、臨床検体について遺伝子発現プロファイルを解析した。
2)放射線被曝による固形がん発生と遺伝的発がん感受性との関連については、放射線影響研究所(放影研)の寿命調査集団を対象としたがん死亡率と放射線被曝との関連解析、赤血球グリコフォリンA(GPA)遺伝子座突然変異体頻度(Mf)とがん発生との関連解析を行った。また、埼玉コーホート研究におけるNK活性の遺伝的要因の検討、血清α2-グロブリン (A2G)についての症例対照研究を行った。
3)放射線被曝によるゲノム障害の修復からみた発がん機構の解明については、REV1の生化学的解析、DNA損傷蓄積効果および染色体不安定性を検討した。
2)放射線被曝による固形がん発生と遺伝的発がん感受性との関連については、放射線影響研究所(放影研)の寿命調査集団を対象としたがん死亡率と放射線被曝との関連解析、赤血球グリコフォリンA(GPA)遺伝子座突然変異体頻度(Mf)とがん発生との関連解析を行った。また、埼玉コーホート研究におけるNK活性の遺伝的要因の検討、血清α2-グロブリン (A2G)についての症例対照研究を行った。
3)放射線被曝によるゲノム障害の修復からみた発がん機構の解明については、REV1の生化学的解析、DNA損傷蓄積効果および染色体不安定性を検討した。
結果と考察
胃がんSAGEライブラリーに基づいたオリゴDNAカスタムアレイにより、種々の病態を判別する有意な遺伝子群を抽出した。現在、放射線によるDNA傷害の修復に関連する遺伝子を加えたカスタムアレイの開発を行っている。また、がんとの関係が示されたNK活性の遺伝要因としてはHLAクラスIの遺伝子型及びNKG2D遺伝子のハプロタイプが重要であること、A2GはHp1-1およびHp1-2遺伝子型のがん予防代理指標となることを指摘した。GPAMfとがん発生についての前向き調査により、GPAMfの線量効果の傾きはがん発生群が有意に高く、そのマーカーとなる可能性が考えられた。一方、Rev1トランスジェニックマウスでは放射線誘発のTCR突然変異頻度が高い傾向にあることを明らかにし、また、修復中間体解消酵素Mus81欠損細胞では、Chk2を介するG2チェックポイントの活性化と染色体倍加が観察され、DNA二本鎖切断修復との関連が示唆された。
結論
これらの研究の推進により、放射線発がん機構の解明が進み、医療放射線や職業的放射線の曝露などにおける個々の発がんリスクの評価及び予防対策という観点からの効果的な取り組みが可能となる。
公開日・更新日
公開日
2005-04-11
更新日
-