小児科診療における効果的薬剤使用のための遺伝子多型スクリーニングシステムの構築に関する研究

文献情報

文献番号
200401341A
報告書区分
総括
研究課題名
小児科診療における効果的薬剤使用のための遺伝子多型スクリーニングシステムの構築に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
小崎 健次郎(慶応義塾大学医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 谷川原祐介(慶応義塾大学医学部)
  • 高橋孝雄(慶応義塾大学医学部)
  • 山岸敬幸(慶応義塾大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 小児疾患臨床研究【若手医師・協力者活用等に要する研究】
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
28,726,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
小児科領域における臨床薬理遺伝学の研究・教育環境を充実を目的として、
① 薬理遺伝学的検査の実施における臨床データ利用の効率化、
② Hapmap計画データの有効活用による多型解析の効率化、
③ DHPLC法を用いたチオプリンメチル転移酵素(TPMT)遺伝子の全域スクリーニング、
④ 薬理遺伝学検査用マイクロプレートの最適化
という4プロジェクトを実施した。
研究方法
① 電子診療録から、抗癌剤の副作用発症に関する時系列データを系統的に抽出するプログラム・モジュールを開発した。
② 国際的な遺伝子多型情報が大規模に集積されているHapmap多型データベースデータを系統的に抽出するプログラム・モジュールを開発した。
③ DHPLC法を用いたTPMT遺伝子の全域スクリーニングを改良し、多民族由来の288名の正常対照のDNAを解析して、未報告の2種類のアミノ酸置換を同定した。
④ DHPLC法による遺伝子検査に於いて用いる「COPPER (Condition-Oriented-PCR primer-Embedded-Reactor)Plate」の作成を機械化する工程の最適化をおこなった。
結果と考察
① 個人情報保護に十分留意しつつ、臨床データ(抗癌剤投与後の各種パラメータの時系列変化)を効率的に収集しうるプログラム・モジュールが開発された。
② 国際Hapmap計画によって公開されている膨大なデータから、研究対象とする薬物代謝酵素遺伝子についての正常人多型のデータを自動的に抽出し、ハプロタイプ構造を決定するプログラムへ送るプログラム・モジュールが開発された。
③ 6-メルカプトプリン治療前のTPMT全翻訳領域のスクリーニングが可能になった。
④ PCRプライマーを96ウェル形式に自動分注器により分注し、さらに風乾しておき、検査時に取り出してPCRすることが可能になった。検査受託時の検査室の負担が軽減された。
結論
臨床情報の安全かつ効率的な集積、国際規模のSNPs情報の簡便な利用、熱変性高速液体クロマトグラフィーによる迅速な検査体制の確立を通じて、小児科領域における薬理遺伝学研究の円滑な推進を図ることができた。

公開日・更新日

公開日
2005-05-12
更新日
-

文献情報

文献番号
200401341B
報告書区分
総合
研究課題名
小児科診療における効果的薬剤使用のための遺伝子多型スクリーニングシステムの構築に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
小崎 健次郎(慶応義塾大学医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 高橋孝雄(慶応義塾大学医学部)
  • 谷川原祐介(慶応義塾大学医学部)
  • 山岸敬幸(慶応義塾大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 小児疾患臨床研究【若手医師・協力者活用等に要する研究】
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
小児科領域における臨床薬理遺伝学の研究・教育環境を充実を目的として、
① 薬理遺伝学における計算機環境の整備、
② 臨床検査として薬物代謝酵素の遺伝子多型検査を実施する際の問題点の抽出と解決、
③ 母集団薬物動態試験法の薬理遺伝学研究への応用、
④ 薬理遺伝学検査の実施における個人情報匿名化の確実な実施と臨床データ利用の効率化という4つの観点からプロジェクトを実施した。
研究方法
① コンピュータ言語S言語を用いた統計モデル解析プログラムの開発、国際HAPMAP計画の多型データの効率的利用のためのプログラムの開発を通じて計算機環境を整備し、若手医師の教育に用いた。
② インフォームドコンセント・アセントの実施、検体匿名化・検体管理・検査情報管理について問題点を明らかにし、方法論を確立した(下記④参照)。
③ ジアゾキシドの母集団薬物動態試験法の蓋然性についてシミュレーションにより評価したのち、ジアゾキシド血中濃度測定法を確立した。
④ 患者データに含まれる個人情報を保護しつつ、研究に必要なデータを高効率に抽出するプログラムを開発した。
結果と考察
① 本研究にて整備された計算機環境によって、若手医師による迅速な臨床データの集積と解析が可能となった。
② 治療前遺伝子多型検査の実施のためのインフラストラクチャーが整備された。
③ 30例以上の症例によりジアゾキシドの母集団薬物動態試験法解析を行いうることを明らかにした上で、GLPに準拠してジアゾキシド血中濃度測定法を確立した。
④ 個人情報匿名化を確実にする匿名化ソフトウェア開発した上で、効果的に副作用発症に関する時系列データを収集することが出来た、
結論
臨床薬理遺伝学研究を通じて、小児科若手医師は人類遺伝学・統計学・疫学・薬物動態学解析について知識・技術を習得し、臨床試験を実施しうる基礎的な能力を獲得した。

公開日・更新日

公開日
2005-05-12
更新日
-