小児肉腫に対する至適治療確立を目指した臨床試験とその基盤整備に関する研究

文献情報

文献番号
200400430A
報告書区分
総括
研究課題名
小児肉腫に対する至適治療確立を目指した臨床試験とその基盤整備に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
牧本 敦(国立がんセンター中央病院小児科)
研究分担者(所属機関)
  • 秦 順一(国立成育医療センター研究所)
  • 浦島 充佳(東京慈恵医科大学)
  • 金子 道夫(筑波大学臨床医学系)
  • 角 美奈子(国立がんセンター中央病院)
  • 河野 嘉文(国立病院九州がんセンター)
  • 熊谷 昌明(国立成育医療センター)
  • 細谷 亮太(聖路加国際病院)
  • 土田 嘉昭(群馬県立小児医療センター)
  • 細井 創(京都府立医科大学)
  • 原 純一(大阪大学大学院)
  • 草深 竹志(大阪大学大学院)
  • 麦島 秀雄(日本大学)
  • 川井 章(国立がんセンター中央病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 小児疾患臨床研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
18,025,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
(1)横紋筋肉腫等の小円形細胞肉腫に対する標準および新規治療法の開発および普及
(2)質の高い小児がん多施設共同臨床試験を実施しうる基盤の構築
研究方法
 「進行性・転移性横紋筋肉腫に対する自家末梢血幹細胞救援療法を併用した大量化学療法の第II相試験(JRS-1 HR03)」および「限局性ユーイング肉腫ファミリー腫瘍に対する集学的治療法の第II相臨床試験(JESS04)」というふたつの臨床試験をモデルケースとして、多施設臨床試験基盤の構築および臨床試験を推進する。
また、新規治療開発のための医師主導治験として「難治性小児悪性固形腫瘍に対する塩酸イリノテカンの第I-II相試験(CPT-PED-05)」の計画を進める。
結果と考察
 平成15年度に設立した「小児がんデータセンター」を実際に運営し、「JRS-1 HR03」の試験を開始し、平成17年3月現在計10症例を登録し、平成17年1月に2回目のモニタリングを行い研究継続している。データセンターでは、症例登録、CRF回収およびチェック・問い合わせ、モニタリング等の実務を行った。また、「JESS04」計画書を完成し、症例報告書、電子データベースを作成し、実際の症例登録を開始した。
 医師主導治験「CPT-PED-05」は、試験計画書等の準備がほぼ出そろい、日本医師会治験推進研究事業の枠組みで進める事が決定した。
 また、病理中央診断システムおよびトランスレーショナル・リサーチの基盤としての組織バンクの構築を進めた。さらに、小児を対象とした臨床試験のアセント指針の策定も行った。
質の良いエビデンスを創り出し、それを将来の患者に還元するためには、優れた試験デザイン、それを記載したプロトコールを客観的に評価するシステム、エラーの少ないデータ収集、品質管理の行き届いたデータマネージメント、および生物統計学者による解析といったプロセスの改善が必須であるため、当該研究班では臨床試験の実践を通じてこれらの活動を推進した。
結論
 小児がんの臨床試験基盤の整備を行うと同時に、モデルケースとして自主研究としての臨床試験を計画・運営するため、複数疾患別プロジェクトを同時進行させ、ふたつの臨床試験「JRS-1 HR03」、「JESS04」を開始し、実際の試験運営を行っている。一方、新規適応外薬剤の小児肉腫への適応拡大を目指して医師主導治験を計画し、平成17年度に開始できる見込みである。

公開日・更新日

公開日
2005-10-07
更新日
-

文献情報

文献番号
200400430B
報告書区分
総合
研究課題名
小児肉腫に対する至適治療確立を目指した臨床試験とその基盤整備に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
牧本 敦(国立がんセンター中央病院小児科)
研究分担者(所属機関)
  • 秦 順一(国立成育医療センター)
  • 浦島 充佳(東京慈恵医科大学)
  • 金子 道夫(筑波大学臨床医学系)
  • 角 美奈子(国立がんセンター中央病院)
  • 河野 嘉文(国立病院九州がんセンター)
  • 熊谷 昌明(国立成育医療センター)
  • 細谷 亮太(聖路加国際病院)
  • 土田 嘉昭(群馬県立小児医療センター)
  • 細井 創(京都府立医科大学)
  • 原 純一(大阪大学大学院)
  • 草深 竹志(大阪大学大学院)
  • 麦島 秀雄(日本大学)
  • 川井 章(国立がんセンター中央病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 小児疾患臨床研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ヘルシンキ宣言を遵守し、倫理性と科学性を確保した臨床試験基盤を構築すること、および、その基盤を実際に運用し、小児悪性腫瘍に対する治療開発のための臨床試験を行うこと。
研究方法
 「進行性・転移性横紋筋肉腫に対する自家末梢血幹細胞救援療法を併用した大量化学療法の第II相試験(JRS-1 HR03)」および「限局性ユーイング肉腫ファミリー腫瘍に対する集学的治療法の第II相臨床試験(JESS04)」というふたつの臨床試験をモデルケースとして、多施設臨床試験基盤の構築および臨床試験を推進する。
また、新規治療開発のための医師主導治験として「難治性小児悪性固形腫瘍に対する塩酸イリノテカンの第I-II相試験(CPT-PED-05)」の計画を進める。

結果と考察
 臨床試験の症例登録が進むにつれて、実際の臨床試験基盤の各段階が実際に機能する事が確かめられた。「JRS-1 HR03」試験では、平成16年5月に第1症例が登録され、平成17年3月現在10症例が登録されている。症例集積のペースはほぼ予定通りであり、平成19年6月に予定症例40例を登録終了できる見込みである。現在の処、本試験治療の有効性を類推することは不可能であるが、登録10症例に関しては特記すべき健康被害もなく、安全に施行されている。「JESS04」に関しては、平成16年9月にキックオフミーティングを行い、平成17年3月現在、2症例を試験登録している。医師主導治験「CPT-PED-05」は、平成17年度開始予定である。
欧米のみならず、国内成人がん領域と比しても著しく遅れていた小児がん領域の臨床試験を根本から考え直し、ヘルシンキ宣言を遵守した世界標準の方法論に則って行う臨床試験の実施を可能ならしめた社会的意義は非常に大きいと考えている。学術的な成果を述べるには時期尚早であるが、試験計画の策定段階において、種々の小児がんの標準治療について調査し、計画書の内容は、全国参加施設の医師への啓蒙および知識の底上げ、ひいては医療技術の均てん化に大きく役立つものであると考えられる。
結論
倫理性と科学性を確保した小児がん領域の臨床試験の実践を通して、全国参加施設の医師の臨床能力を向上し、かつ、登録患者の質の高いデータの蓄積により、将来の臨床上の意思決定に役立つような治療開発をなし得る基盤を確立した。かつ、関連する臨床試験については、現在も実施中であり、次年度以降も継続を予定している。

公開日・更新日

公開日
2005-10-07
更新日
-