保育園での児童虐待の早期発見・対策にかかわる諸問題の解明と対策システムの構築

文献情報

文献番号
200400419A
報告書区分
総括
研究課題名
保育園での児童虐待の早期発見・対策にかかわる諸問題の解明と対策システムの構築
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
加藤 和生(九州大学大学院(人間環境学研究院))
研究分担者(所属機関)
  • 丸野 俊一(九州大学大学院(人間環境学研究院))
  • 笠原 正洋(中村学園大学(人間発達学科))
  • 後藤 晶子(肥前精神医療センター(臨床研究部家族精神医学教室))
  • 田代 勝良(西九州大学(社会福祉学科))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 子ども家庭総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
4,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
全研究課題の3つの内,本年度は課題1・2の一部を遂行
課題1:児童虐待の発見から通告・対応のプロセス(段階)モデルを構築し,それに基づき各段階での園・保育士が抱える諸問題(不安,悩み,ニード,知識,関連機関の存在と連携の仕方,園全体の対応の仕方など)について詳細な構造化面接調査を行い,質的な分析を行う.
課題2:保育園・保育士の置かれた現状を十分に考慮した利用可能な対策プログラムを開発するための準備として,児童福祉行政・制度およびその実態,問題と課題を整理
研究方法
課題1 調査対象:F県の保育士33名・園長10名(信頼関係のある者を選定)
モデル・質問紙の作成 研究者・保育士・園長が共同で児童虐待の発見から対応のプロセスを概念的に整理.そのプロセス・モデルを構築.
質問紙:2部からなる.1)a.園内で発見された被虐待児の同定,各段階での対応仕方・問題点・不満・結果,b.今後の改善策・要望などの質問,c. 保育士の実体験事例の詳細な報告(各段階に沿って).2)被虐待児の症状・行動特徴に関する質問.
手続き 個別面接調査,時間:2から3時間
課題2 文献研究,関係者の面接
結果と考察
A.モデル構築と面接調査の分析(課題1)
(1) 早期発見?通告・対応のモデルの構築と質問紙の作成.プロセスを考慮に入れたことで,どの段階に問題があるのかを同定しやすくした.
(2) 保育士・保育園長への面接結果の質的分析
a.被虐待児の出現頻度 今調査での被虐待児の頻度は1.11%(以前の調査結果と近似).
b.主な要因は,
①保育士の判断の問題:i)保育士に虐待の認識がない.園内での対応しようとする. ii)親との信頼関係を損なう恐れ.②園の判断の問題:相談しても園長や主任が責任をとることを避け,虐待であると見なさない.保育士間・保育士ム管理職の間で情報共有するシステムがないなど.
(3)要望・問題
①行政(夜間保育の問題、研修、通告マニュアルの作成など)、②園のシステムの問題(役割分担のなさ、上司や先輩からの指導のなさなど)、③社会や親(親教育の必要性、子どもへの甘やかしや放任への指導など).
(4)その他 報告された事例の分類・症状チェックリストの結果の分析.
B. (課題2)児童福祉行政,福祉機関へ通告された被虐待児への対応,制度上の問題について分析(現在も継続中).
結論
本年度の研究成果により次年度で計画している質問紙調査の枠組みができたといえる.

公開日・更新日

公開日
2005-07-04
更新日
-