文献情報
文献番号
200400410A
報告書区分
総括
研究課題名
家庭内暴力被害者の自立とその支援に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
石井 朝子((財)東京都医学研究機構東京都精神医学総合研究所ストレス障害研究部門)
研究分担者(所属機関)
- 奥山 真紀子(国立成育医療センターこころの診療部)
- 加茂 登志子(東京女子医科大学付属女性生涯健康センター)
- 小西 聖子(武蔵野大学人間関係学部)
- 村井 美紀(東京国際大学人間社会学部)
- 町野 朔(上智大学法学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 子ども家庭総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
6,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は、DV被害母子に対しての早期介入の方法論や健康回復のためのケア技法の確立、また就労・子育て支援などの生活再建に向けた総合的支援をはかるための基礎となる実証的なデータを提供することができる。
研究方法
病院、民間シェルター、母子寮などに入所したDV被害母子を対象として構造化面接及び自記式質問紙による心理的査定を実施し、暴力の実態を明らかにし精神健康の状況を調査する。
結果と考察
民間シェルター及び委託事業保護施設に入所した148名を対象として構造化面接及び自記式質問紙を実施した。その結果PTSDと診断されたのは、65名(44%)であった。診断基準の一部は、満たさないが当時の体験がよみがえる「再体験」などの症状が続く「部分PTSD」を含めると111名(75%)にのぼった。また自殺について面接を実施した77名のうち2割の15名が、面接をした時点から過去の1ヶ月以内に自殺を試みたり計画をしていた。PTSDと診断された女性は、そうでない女性に比べ「心理的攻撃」や「性的な強要」などの暴力を長期にわたり反復的に受けていた。民間シェルター及び委託事業保護施設に入所したDV被害女性の児童62名を対象に自記式質問紙及び母親への構造化面接と自記式質問紙を実施した。その結果、全員がDVを目撃しており、65%が父親からの被虐待経験があった。また「攻撃性」や「自責感」などの問題も明らかになった。一方母子寮に入寮したDV被害女性7名は、一般成人女性に比べ子育て中の解離が高い傾向にあった。
結論
本研究の結果は、欧米の先行研究と一致しており、DV被害女性とその児童の身体・精神健康に及ぼす影響は、深刻であることが明らかになった。米国において、DV被害母子は、一時保護所に数ヶ月滞在することが可能であり、その滞在期間中に専門家による個人精神療法や集団精神療法などの治療プログラムが提供される。また就業訓練や保育などの具体的な生活再建に向けた支援もある。一方わが国においては、DV被害母子が援助を求めても行き場がなく、健康を回復するための適切な支援が受けられない状況が続いている。今後わが国においても、社会への自立に向けた総合的な支援プログラムの構築が早急に望まれる。
公開日・更新日
公開日
2005-06-17
更新日
-