軽度発達障害児の発見と対応システムおよびそのマニュアル開発に関する研究

文献情報

文献番号
200400409A
報告書区分
総括
研究課題名
軽度発達障害児の発見と対応システムおよびそのマニュアル開発に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
小枝 達也(鳥取大学地域学部)
研究分担者(所属機関)
  • 林 隆(山口県立大学看護学部)
  • 山下 裕史郎(久留米大学医学部)
  • 前垣 義弘(鳥取大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 子ども家庭総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
5,900,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
学習障害(LD)、注意欠陥/多動性障害(ADHD)、高機能自閉症やアスペルガー症候群を包含する高機能広汎性発達障害(HFPDD)といったいわゆる軽度発達障害は、集団生活を経験する幼児期以降になってはじめて、その臨床的特徴が顕在化してくる。そのため、3歳児健診を最終とする現行の乳幼児健診システムの中では充分に対応できていない可能性がある。本研究は、こうした軽度発達障害に焦点を当てた「気づきの場」をどのように構築するのか、また幼児期に見いだされた軽度発達障害児を母子保健の枠組みの中で、どのように指導・支援したらよいのかという命題に答えるとともに、本邦全体で取り組むことのできる豊富なモデルを示すマニュアル作成を目的とする。
研究方法
先進的に実施している地域の健診や発達相談が軽度発達障害児に対する「気づきの場」になっているか、現状を把握する。以下の地域を対象とする。
①鳥取市の5歳児発達相談
②鳥取県内29市町村(県の74.4%)における5歳児健診
③久留米市保健所で行われている「就学前の気になるお子さまの相談」
④山口県の総合療育システムと療育相談会
結果と考察
①平成11年度から16年度までに行われた鳥取市の5歳児発達相談には、67名の相談があった。うち軽度精神遅滞児は26名(38.8%)、ADHD児は17名(25.4%)、PDD児は7名(10.4%)、LD疑い児は1名(1.5%)であった。これらのうち、5歳児発達相談で初めて気づかれたのは、軽度精神遅滞児の38.5%、ADHD児の58.9%、PDD児の42.9%、LD疑い児の100%であった。
②鳥取県内の市町村で行われた5歳児健診のまとめは、現在進行中である。
③山口県の療育相談会には3歳児健診で気づかれずに5歳児で相談に初めて訪れたのは療育相談会で対応した乳幼児のうち13.6%であった。
④久留米市保健所の「就学前の気になるお子様の相談」では、5歳前後の受診者が70%と多いこと、その中からADHDやアスペルガー症候群が見出されていることが判明した。
結論
3歳児健診以降に行われている発達相談には多種の形態があるが、いずれにおいても3歳児健診で発達上の問題が指摘されず、その後に保育所や幼稚園からの指摘で問題に気付かれて受診するというパターンが見られた。
また、鳥取県で行われている5歳児健診において健診の均質化を図る目的で小児科医向け5歳児健診インストラクションビデオを制作した。

公開日・更新日

公開日
2005-06-16
更新日
-