文献情報
文献番号
200400386A
報告書区分
総括
研究課題名
被虐待児への医学的総合治療システムのあり方に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
杉山 登志郎(あいち小児保険医療総合センター 心療科)
研究分担者(所属機関)
- 小林美智子(大阪府立母子保健総合医療センター)
- 宮本信也(筑波大学)
- 奥山眞紀子(国立成育医療センター)
- 野邑健二(名古屋大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 子ども家庭総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
14,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
わが国では、入院を含めた専門的な治療が可能な医療機関は未整備である。本研究の目的は、虐待に対応する医療システムに関する具体的提言である。
研究方法
分担研究1、被虐待児への対応に関する病院内および地域医療システムに関する研究(分担研究者:小林美智子)では、国公立病院・全国小児病院・全国児童相談所を対象に実態調査を行い、この3つの調査から見える課題を考察した。分担研究2、医療機関で用いるマニュアルに関する研究(分担研究者:宮本信也)では、子ども虐待についての医師の意識調査を行った。分担研究3(分担研究者:奥山眞紀子)では代理によるミュンヒハウゼン症候群(MSBP)の調査を実施した。分担研究4(分担研究者:野邑健二)では、児童養護施設の入所児および職員に対して構造化面接を行い、入所児の抱える精神的問題の調査をおこなった。分担研究5(分担研究者、杉山登志郎)では、被虐待児および親の調査、注意欠陥多動性障害(ADHD)と虐待による多動の比較、被虐待児の皮膚症状の検討等を行った。
結果と考察
分担研究1では、公立病院の調査では虐待の院内システムを持つ施設は回答した病院の2割に過ぎなかった。小児病院の調査においては取り組みの差が大きく、年間100症例以上の入院治療を行っている所から1名のみまで見られた。児童相談所への調査では、処遇で中心となる病院があると答えた児相は約2割に過ぎなかった。しかし虐待対応に医療機関の関与を求める意見は回答の約7割に上った。分担研究2では、虐待の経験者は全体の2/3であったが、通告はさらにその2/3であった。分担研究3では、MSBP と判断される21例(20家族)で、死亡は2例(10%)であり、86%に虐待通告がなされていた。分担研究4では、入所児本人からは24名(66%)が、職員からは26名(72%)が、構造化面接において精神科疾患が認められた。しかし内向化する問題については職員が把握できていない場合が多いことが示された。分担研究5では、被虐待児の57%に発達障害の診断か可能であった。多動と解離の関連の研究では、多動に解離症状が併発したグループが最も解離のレベルが重く治療も困難であった。皮膚症状に関する研究では、当初身体症状は乏しく、自傷や無意識の怪我が多く認められ、回復につれて身体症状や皮膚症状やかゆみが出現しており、かゆみが回復の指標となることが示された。
結論
わが国における医療機関を核とした虐待へのケアシステムは、未整備の状態である。今後具体的なマニュアル作成を行う。
公開日・更新日
公開日
2005-06-17
更新日
-