家庭支援の一環としての虐待親へのペアレンティングプログラム作成

文献情報

文献番号
200400376A
報告書区分
総括
研究課題名
家庭支援の一環としての虐待親へのペアレンティングプログラム作成
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
加藤 曜子(流通科学大学サービス産業学部医療福祉サービス学科)
研究分担者(所属機関)
  • 井上直美(日本福祉大学心理臨床研究センター)
  • 鈴木敦子(福井県立大学看護福祉学部)
  • 井上薫(同朋大学社会福祉学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 子ども家庭総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 児童虐待予防・再発予防領域において、親支援・家族支援の効果的なアプローチ方法の開発が急がれている。本研究では以下の検討を行った。①児童相談所の虐待親の支援方法 ②子どもが保護されている親の支援モデル ③児童福祉法28条に対応する親支援プログラム ④軽度虐待を扱う保健分野における親のための支援方法。虐待親のペアレンティングプログラム(親をする。親になっていくため)は狭い意味の親教育のみならず、a 親が自分を受け入れる b. 親子のコミュニケーションがとれる c. 親が養育知識や養育方法を得る d.親が社会とのつながりがもてるようになる目的をもつ広義の親支援ととらえ研究を進めた。
研究方法
 1)全国児童相談所180箇所2通ずつワーカーの親対応について調査分析した。141通エピソード計273(有効回答率37.8%)。2)ペアレンティングプログラムの試行。兵庫県家族再生プログラムにおけるペアレンティングトレーニング、サインズオブセイフティアプローチの家族支援方法を実施した。3)児童福祉法28条における虐待事例実態把握調査を実施した。全児童相談所所長対象127所(回収率70.1%)と、第28条ケース回答(157事例 分析対象142例)と援助方法について選択方式で調査を依頼した。また第28条についてのプログラム整理を試みた 4)保健分野では保健所の母親グループケアの聞き取り調査を行った。
結果と考察
 1)児童相談所ワーカー調査結果回答を分析し、これをもとに親対応マニュアル集を作成した。2)サインズオブセイフティアプローチにおける親を参加させた親支援の有効性が示唆された。兵庫県家庭再生事業におけるペアレントトレーニングの実際から親参加の効果が実証できた。2つのモデルは第28条親支援の参考になることがわかった。3)保健所でペアレンティングプログラムであるグループケアを継続的・有効的に実施していくためには、市町村保健師に対する虐待予防の研修を行う、スーパービジョン体制が必須であることがわかった。
結論
 1)虐待親へのペアレンティング支援でもある在宅プログラム、親子再統合プログラム、及び親子再生プログラムの発展開発が、児童福祉法改正後のさらにもとめられる。2)家庭再生プログラムおよび、サインズオブセイフティのプログラムについては、モデルを実施してもらった成果をさらに今後も発展をさせていく必要がある。

公開日・更新日

公開日
2005-06-16
更新日
-

文献情報

文献番号
200400376B
報告書区分
総合
研究課題名
家庭支援の一環としての虐待親へのペアレンティングプログラム作成
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
加藤 曜子(流通科学大学サービス産業学部医療福祉サービス学科)
研究分担者(所属機関)
  • 井上直美(日本福祉大学 心理臨床研究センター)
  • 鈴木敦子(福井県立大学看護福祉学部)
  • 井上薫(同朋大学社会福祉学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 子ども家庭総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、児童虐待予防・再発予防領域における、親支援・家族支援のアプローチ方法の研究の一環である。平成15年度の目的は、①全国児童相談所対応の親の実態把握及び児童相談所で実施されている親支援事業及び民間団体のプログラムを把握する。②また、虐待親へのペアレンティングプログラムを提案する。③保健分野は、虐待親のグループケアの全国実態調査・分析をする。平成16年度の目的は ①の結果から親への個別対応の課題を具体的に明らかにする ②実際親支援モデルを実践する。児童福祉法28条家族再統合の過去成功例から導き出される共通項を提出する。③は質的研究を実施する。
研究方法
①平成15年及び16年全国児童相談所各児童相談所ソーシャルワーカーを対象に郵送調査を実施。また、親支援事業を実施する公民の聞き取り調査を実施した。②は、平成15年度にモデルプランをたて、平成16年に家族再生事業で行動療法を応用したペアレントトレーニングを試行検討した。またサインズオブセイフティアプローチをもちいた親支援について児童相談所及び児童養護施設にて試行検討した。平成15年は第28条家族再統合モデルを作成した。平成16度は第28条における児童相談所の対応状況について全国調査を実施した。また第28条親への家族再統合の過去事例を検討し成功した共通点の考察をした。③保健分野の実施するグループケアの聞き取り調査を実施した。
結果と考察
1)虐待親への支援を開始するにあたり、援助を受ける動機があるかどうか親の状態により段階的にサービスを提供するプログラム整理を試みた。また、虐待親対応場面で理解できるワーカーへの支援のためのマニュアル集を作成した。2)ペアレントトレーニングは親に一定の効果をもたらすことが判った。サインズオブセイフティアプローチでは親参加型カンファレンスや、ペアレントプログラムの採用を試みた。3)第28条親への指導プログラムへの困難要因をさらに検討する必要がある。4)保健分野でのグループケアのニーズは高まっているので推進するための整備づくりは必要である。
結論
1)個別に応じた親支援、親参加を促進していくアプローチ方法の導入、計画的なグループにおけるペアレントトレーニングの試みは今後も試行され続け、どのような時点で、どのような親層に利用可能であるのか、また、その効果について検証する必要がある。2)児童相談所での親プログラムを発展させる必要性、あわせて地域の関係機関との親支援の連携プログラムの必要性、民間団体の実施する親支援との連携プログラムの可能性の検討なども今後課題となる。

公開日・更新日

公開日
2005-06-16
更新日
-