文献情報
文献番号
200400370A
報告書区分
総括
研究課題名
母親とともに家庭内暴力被害を受けた子どもへの心理的支援のための調査
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
金 吉晴(国立精神・神経センター精神保健研究所 成人精神保健部)
研究分担者(所属機関)
- 加茂 登志子(東京女子医科大学付属女性生涯健康センター)
- 元村 直靖(大阪教育大学学校危機管理メンタルサポートセンター)
- 後藤 晶子(肥前精神医療センター臨床研究部情動行動障害センター)
- 笠原 麻里(国立成育医療センターこころの診療部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 子ども家庭総合研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
母子共に家庭における虐待・暴力の被害者となっている場合だけではなく、新たに学校管理下の災害といった場合も含めて、母親と子どもがそれぞれどのような心理的な影響を受けているのか、また母子関係がどのように影響されているのかを調査研究する。回復過程における母子の相互作用についても追跡研究をし、被害を受けた母子に対する有効な援助方法を探索する。その援助方法の一つとして、DV被害児童向けのパンフレットを作成することを新たに目的の一つに加える。
研究方法
1.DV被害家庭児童の実態と支援に関する調査研究
2.DV目撃児童の臨床事例についての研究
3.学校犯罪と子供のケアシステムに関する研究
4.ガイドラインの作成
2.DV目撃児童の臨床事例についての研究
3.学校犯罪と子供のケアシステムに関する研究
4.ガイドラインの作成
結果と考察
①DV被害者における被害終了直後の精神健康回復の確認
②精神健康回復に影響を与えている要因の同定
③母子のク神健康関連の検討対象者には入所時に、内科医と看護婦により施設利用者全員に行っている健康診断を実施した。
②精神健康回復に影響を与えている要因の同定
③母子のク神健康関連の検討対象者には入所時に、内科医と看護婦により施設利用者全員に行っている健康診断を実施した。
結論
①全般的精神健康状態とPTSD症状の測定の結果、入所時には、対象となったDV被害者の約9割がハイリスク群と判断された。
②退所時までの精神健康の回復に関連する要因を検討した。その結果、現実に入所までに受けてきたDV被害の内容が精神健康を左右することと同時に、その被害に対して提供される施設での援助が回復を促進する可能性が示唆された。
③緊急一時保護施設を利用した児童は、DV被害への暴露の度合いが非常に高いことが確認された。
④CBCLによる評定の結果、男女児双方で、内向尺度と呼ばれる得点が上位10%の「臨床群」に該当し、母親だけでなく同伴された児童もストレスによる問題行動を非常に高く示していることが分かった。
⑤興味深い検討結果としては、児童のCBCLでの「攻撃的行動」の高さと、心理職員が判定した「母子相互関係」の困難との間に関連が認められた。本調査を行った施設ではこれらの調査結果や援助経験の蓄積から、どのように児童に家を出た経緯や今後の見通しを伝えたらよいかについて、心理士が面接の中で母親に具体的な例を挙げながら情報提供を行うようになった。また現在では児童を連れて保護されたDV被害者のためのリーフレット作りに取り組んでいる。
②退所時までの精神健康の回復に関連する要因を検討した。その結果、現実に入所までに受けてきたDV被害の内容が精神健康を左右することと同時に、その被害に対して提供される施設での援助が回復を促進する可能性が示唆された。
③緊急一時保護施設を利用した児童は、DV被害への暴露の度合いが非常に高いことが確認された。
④CBCLによる評定の結果、男女児双方で、内向尺度と呼ばれる得点が上位10%の「臨床群」に該当し、母親だけでなく同伴された児童もストレスによる問題行動を非常に高く示していることが分かった。
⑤興味深い検討結果としては、児童のCBCLでの「攻撃的行動」の高さと、心理職員が判定した「母子相互関係」の困難との間に関連が認められた。本調査を行った施設ではこれらの調査結果や援助経験の蓄積から、どのように児童に家を出た経緯や今後の見通しを伝えたらよいかについて、心理士が面接の中で母親に具体的な例を挙げながら情報提供を行うようになった。また現在では児童を連れて保護されたDV被害者のためのリーフレット作りに取り組んでいる。
公開日・更新日
公開日
2005-06-15
更新日
-