児童虐待発生要因の解明と児童虐待への地域における予防的支援方法の開発に関する研究

文献情報

文献番号
200400368A
報告書区分
総括
研究課題名
児童虐待発生要因の解明と児童虐待への地域における予防的支援方法の開発に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
服部 祥子(大阪人間科学大学(人間科学部人間環境学科))
研究分担者(所属機関)
  • 原田 正文(大阪人間科学大学(人間科学部社会福祉学科))
  • 岡本 正子(大阪教育大学(教育学部))
  • 櫃本真聿(愛媛大学(医学部附属病院 医療福祉支援センター))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 子ども家庭総合研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
9,900,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
「児童虐待発生要因の解明と児童虐待への地域における予防的支援方法の開発に関する研究」(主任 服部祥子 大阪人間科学大学)は、平成16年度3つの研究班を設け研究を行った。分担研究1(原田正文、大阪人間科学大学)では、「児童虐待発生要因の構造分析と地域における効果的予防方法の開発」を、分担研究2(岡本正子 大阪教育大学)では「虐待する親・家族機能の質的評価と虐待進行の予防的支援方法」を、分担研究3(櫃本真聿 愛媛大学医学部)では、「ヘルスプロモーションに基づいた医療・福祉の連携等地域資源の有効活用による子育て不安対策」を探求することを研究目的としている。
研究方法
分担1では、先行研究である「大阪レポート」(1980年生まれの児を対象とした子育て実態調査)と比較検討できる調査を兵庫県姫路市において企画・実施。特に平成16年度には標準化された尺度を使用し因子分析可能な質問紙を作成し第3次調査を実施した。分担2では虐待の増悪因子の解明のため虐待事例の分析と昨年度開発した「虐待者および家族支援のためのアセスメント」の有効性の検証。地域医療機関(精神科・小児科・産婦人科)への虐待に関するアンケート調査の分析を行った。分担3では先駆的な医療機関や教育機関への虐待に関するアンケート調査を分析検討した。
結果と考察
分担1では今回の調査結果(「兵庫レポート」と命名)により、子育て状況の悪化が見出されたが、特に自己実現をめざして育てられた現代の母親が「親としての役割を果たすこと」と一人の女性としての自己実現を達成することとのジレンマの悩みがストレスの要因として高いことが明らかにし、新しい親支援の方向性を示唆した。分担2では、虐待の悪化要因として虐待者の問題(精神障害、アルコール問題、人格特性等)、子どもの問題(行動・情緒問題等)が見出された。医療機関の虐待事例への関与は、小児科>精神科>産婦人科の順に多かったが、分担3では、医療機関からの発信は予防ケアにつながる促進因子であり、ボランタリーな子育て支援の環境づくりの必要性を指摘した。
結論
3班の研究から、新しい親支援プログラムの必要性(カナダの“Nobody’s Perfect”導入等)、「虐待者および家族」を理解するツールの開発や医療機関との支援ネットワークの重要性、ヘルスプロモーションの観点から医療機関や分娩機関のスタッフ研修プログラムやマニュアル作成の重要性等が結論として出された。

公開日・更新日

公開日
2005-07-04
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2006-02-20
更新日
-

文献情報

文献番号
200400368B
報告書区分
総合
研究課題名
児童虐待発生要因の解明と児童虐待への地域における予防的支援方法の開発に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
服部 祥子(大阪人間科学大学(人間科学部人間環境学科))
研究分担者(所属機関)
  • 原田 正文(大阪人間科学大学(人間科学部社会福祉学科))
  • 佐藤 拓代(大阪府健康福祉部)
  • 岡本 正子(大阪教育大学(教育学部))
  • 櫃本 真聿(愛媛大学(医学部附属病院 医療福祉支援センター))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 子ども家庭総合研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
「児童虐待発生要因の解明と児童虐待への地域における予防的支援方法の開発に関する研究」(主任 服部祥子 大阪人間科学大学、平成14から16年度)は、4班を設け研究を行った。分担研究1(原田正文、大阪人間科学大学)では、「児童虐待発生要因の構造分析と地域における効果的予防方法の開発」を、分担研究2(佐藤拓代 大阪府健康福祉部)では、「地域保健における子ども虐待の予防・早期発見・援助」を、分担研究3(岡本正子 大阪教育大学)では「虐待する親・家族機能の質的評価と虐待進行の予防的支援方法」を、分担研究4(櫃本真聿 愛媛大学医学部)では、「ヘルスプロモーションに基づいた医療・福祉の連携等地域資源の有効活用による子育て不安対策」を探求することを研究目的としている。
研究方法
分担1では、主として兵庫県姫路市の乳幼児健診の場を利用して子育て状況のアンケート調査を企画・実施。分担2では主として全国の保健所・保健センターに対し虐待対応に関するアンケート調査を企画・実施。分担3では主として家庭児童相談室および子ども家庭センターの虐待事例の実態調査や医療機関への虐待に関するアンケート調査を企画・実施。分担4では主として自治体や分娩施設での虐待取り組み状況の調査を企画・実施した。
結果と考察
分担1では、1980年生まれの児を対象とした子育て実態調査「大阪レポート」に匹敵する今回の「兵庫レポート」から、子どもとの接触経験が乏しく、孤立したり、子育てに負担感の強い母親の増加等20年間の子育て状況の悪化をデータから示し、児童虐待予防の取り組みの緊急な必要性を実証した。分担2では、全国保健所、市町村保健センター等の虐待予防・早期発見・援助の取り組みはまだ不十分という実態を示し、今後の対策の必要性を指摘した。分担3では虐待事例の検討から、悪化の進行・再発予防には介入初期の適切な指導、支援課程での虐待者・家族・子どもの変化の適切な把握とケア・治療等の重要性を見出した。分担4では、分娩機関や自治体の虐待予防の取り組みの不十分さを見出し、その啓発の必要性と地域の連携の必要性を指摘した。
結論
4班の研究から、親支援プログラムの必要性(カナダの“Nobody’s Perfect”導入等)、「虐待予防のための保健師活動マニュアル」の必要性(作成済み)、「虐待者および家族支援のためのアセスメント」の重要性(作成済み)、子育てエンパワーメントの取り組みの重要性等が結論づけられた。

公開日・更新日

公開日
2005-07-04
更新日
-