日本における女性医療の課題に関する医療社会学的研究ならびに性差を加味した健康度及び生活習慣の測定手法の評価に関する研究

文献情報

文献番号
200400366A
報告書区分
総括
研究課題名
日本における女性医療の課題に関する医療社会学的研究ならびに性差を加味した健康度及び生活習慣の測定手法の評価に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
天野 恵子(千葉県衛生研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 太田 壽城(国立長寿医療センター)
  • 友池 仁暢(国立循環器病センター)
  • 上野 光一(千葉大学・大学院薬学研究院)
  • 名取 道也(国立成育医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 子ども家庭総合研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
13,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
「性差に基づく女性医療」の基盤整備として、女性外来担当医師のネットワークの構築,女性医師教育システムの構築,女性医学分野でのエビデンスの作成。
研究方法
①全国の女性外来現状調査,②女性外来担当医師への情報発信と教育の場としてのWEBサイトの立ち上げと運用(http://www.nahw.org)、③全国の女性外来患者を対象とするデータファイリングシステムの開発、④女性外来評価法構築のためのプレアンケート調査、⑤薬物動態における遺伝子研究と全国9病院における処方調査、⑥高齢者生活実態アンケート調査,国立成育医療センター女性外来受診者アンケート調査,⑦更年期障害とエストロゲン受容体多型との相関に関する研究を行った。疫学・遺伝子研究は倫理審査委員会の承認を得て行い、主旨を文書にて説明し,データは個人名が同定できないように氏名をID番号に替えて分析した。
結果と考察
2004年12月現在、47都道府県328施設での女性外来が確認されている(医科大学29、国・公立病院105、社保および労災病院18、私立病院121、その他55)。性差医療情報WEBサイトによるセミナー情報、海外情報、医師間の情報交換により担当医への教育効果が増強した。データファイリングシステム「女性外来患者データベース」は電子カルテへの移行を考慮しICD10のコード番号と連携したソフトを構築した。全国9病院における処方調査では、女性に処方されやすい薬剤が多く,殊に中枢神経系用剤の使用が高い。NAT2遺伝子には性差がない。高齢者生活実態調査では、すべての項目に性差があり、同年齢で比較したとき、女性のQOLが男性に比し低い。女性外来受診者で心の問題,内科的主訴で受診した者は、成育関連の主訴で受診した女性に比し不安、抑うつ度が高い。更年期症状と遺伝子多型の間に関連が認められた。
結論
女性外来担当医師のネットワークの構築、データファイリングシステムの完成、女性外来ならびに設置医療機関の評価などをとおして、日本における女性の受療行動が明らかにされ、予防措置の構築が可能となる。また、性差医療・医学の浸透に伴い、女性医学のテキストが書き直されることは間違いないが、今後は性差医療・医学を現場で実践できる医師の育成が必須である。

公開日・更新日

公開日
2005-06-15
更新日
-

文献情報

文献番号
200400366B
報告書区分
総合
研究課題名
日本における女性医療の課題に関する医療社会学的研究ならびに性差を加味した健康度及び生活習慣の測定手法の評価に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
天野 恵子(千葉県衛生研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 上野光一(千葉大学大学院薬学研究院)
  • 太田壽城(国立長寿医療センター)
  • 友池仁暢(国立循環器病センター)
  • 名取道也(国立成育医療センター)
  • 岡野浩哉(東京女子医科大学産婦人科)
  • 佐々木敏(国立健康・栄養研究所栄養所要量策定企画・運営担当リーダー)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 子ども家庭総合研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
「性差に基づく女性医療」の基盤整備として、女性外来担当医師のネットワークの構築、女性医師教育システムの構築、女性医学分野でのエビデンスの作成。
研究方法
①先行する諸外国での女性医療のあり方の文献考察と視察②全国の女性外来のロールモデルとしての「千葉モデル」の構築③女性外来担当医師への情報発信と教育提供の場としてのWEBサイトの立ち上げと運用④性差医療・医学における研究と教育の推進を目的とした研究会の立ち上げと学術集会の開催⑤全国の女性外来患者を対象とする疫学調査のためのデータファイリングシステムの開発⑥女性外来評価法構築のためのプレ調査⑦薬学分野における性差アンケート調査、処方内容調査、薬物動態研究⑧循環器医療、高齢者医療、成育医療における性差研究⑨女性外来患者を対象とした臨床研究⑩疫学調査における食事調査票のWEB上入力システムの開発⑪女性外来実態調査を行った。
結果と考察
性差医療の実践が先行している米国を参考に、日本にあった「性差に基づく女性医療」の実現を進めてきた。千葉県を中心とし、女性医療における行政、医療者、患者支援団体のネットワークシステムを構築し、女性外来を担当する医療者の系統的教育を開始した。患者のニーズに応えた女性外来は、設立が相次ぎ2004年12月末、47都道府県で328確認された(医科大学29、国・公立病院105、社保および労災病院18、私立病院121、その他55)。性差医療情報ネットワーク(http://www/nahw/org)および性差医療・医学研究会(http://www.pin-japan.com/gender/)の立ち上げ、月刊誌「性差と医療」の発刊は医学・薬学の教育現場に性差の視点を引き込むことに成功した。薬学分野・医療分野における性差研究が遂行され、いずれの分野でも大きな性差が認められた。データファイリングシステムの構築により、一層のエビデンス構築が期待される。
結論
①生物学的性差Sex、社会的性差ジェンダーがもたらす心身の健康・疾病構造における差を究明すべきである。②明らかにされた性差情報を、医療現場に投影し、最上級の医療サービス・健康指導を展開する人材の育成が急務である。③性差に基づく医療情報を適切な情報発信媒体で速やかに国民に浸透させるべきである。以上の課題を実施する機関として「女性の生涯に渡る医療センター」の設置を希望する。

公開日・更新日

公開日
2005-06-16
更新日
-