乳幼児から思春期まで一貫した子どもの健康管理のための母子健康手帳の活用に関する研究

文献情報

文献番号
200400360A
報告書区分
総括
研究課題名
乳幼児から思春期まで一貫した子どもの健康管理のための母子健康手帳の活用に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
小林 正子(国立保健医療科学院)
研究分担者(所属機関)
  • 大西 鐘壽(高松短期大学(香川医科大学名誉教授))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 子ども家庭総合研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
4,900,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
子どもを巡る問題に対処するためには、発育発達や健康状態を一貫して把握する必要性があるとの考えに立ち、継続使用できる母子健康手帳や発育グラフを利用した取り組みについて検討する。さらに、地域における子ども育成の体制づくりについて調査検討を行う。
研究方法
前年度作成した母子健康手帳について意見を収集し、大西班の検討結果も加味して改訂版(最終モデル版)を作成し、全国市町村に配布する。また、発育グラフソフトを開発し、全国の保健師・養護教諭に配布する。これらにより、子どもの発育発達や健康情報を継続的に把握することの重要性を啓発していく。一方で、母子健康手帳が活用されている地域や連携が進んでいる地域を調査し、子ども育成の体制づくりに必要な概念や具体的方法を検討する。
結果と考察
前年度、常陸大宮市にて、子どもが20歳になるまで記載できる母子健康手帳(通称:親子健康手帳)を作成し、2004年10月から住民に配布した。この手帳について104名から意見や感想を収集したところ、子どもの就学後も使用できるという点で好評であったが、字数が多い、内容が盛り沢山(逆にもっと必要との意見も)など様々な意見があった。今回の主な改訂点は、妊娠中のアルコール類の中止を明記したこと、母乳が順調に出るようになるまでの時間は個人差が大きいこと、心肺蘇生法を1~8歳までに加え8歳以上についても記載したこと、6~18歳までの身長・体重成長曲線を拡大し、説明文も付記したこと、予防接種は改正通知に従い改訂を行ったほか、任意接種となっても接種もれのないよう2重のチェックを行えるよう工夫したことなどである。また、発育グラフソフトを開発し、全国の保健師や養護教諭に配布している。連携が進んでいる秋田県岩城町においては『子どもは家庭・学校・地域の中で育成されるものであるから、地域ぐるみで健康を守る必要がある』という考えが浸透しており、子どもの健康情報が家庭と地域・学校で一貫して把握されている。三重県紀南地区では既製の母子健康手帳に学校での健康診断結果を記載する欄を設け、保護者と子どもが健康状態を互いに把握できるような取り組みが始まった。いずれの地域も子どもの健康情報を継続して把握することが基本となっている。
結論
母子健康手帳の継続使用や成長曲線作成などを通して、子どもの発育発達や健康状態を一貫して把握する体制づくりが必要である。連携が進んでいる地域では、子どもの成長を継続的に見守ることを基本としているという共通点がみられる。

公開日・更新日

公開日
2005-06-16
更新日
-

文献情報

文献番号
200400360B
報告書区分
総合
研究課題名
乳幼児から思春期まで一貫した子どもの健康管理のための母子健康手帳の活用に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
小林 正子(国立保健医療科学院)
研究分担者(所属機関)
  • 矢野  亨(平成14・15年度)(日本学校保健会)
  • 加藤 則子(平成14年度)(国立保健医療科学院)
  • 大西 鐘壽(平成15・16年度)(高松短期大学(香川医科大学名誉教授))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 子ども家庭総合研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
子どもを巡る問題が山積する現在、その基本には、子どもの発育発達や健康状態を一貫して見守ることが必要との見地から、母子健康手帳の有効活用を中心に、地域における子ども育成の体制づくりについて検討する。
研究方法
母子健康手帳および学校健康手帳のあり方について、児童生徒と保護者、養護教諭、小児科医等から意見を収集し、望ましい方向性を探る。そのうえで2つの手帳について内容を検討し、モデル版を作成する。手帳に記載する育児・健康情報については文献等で根拠を確認する。また、発育経過を継続してグラフに表す方法を考案する。一方で、母子健康手帳が活用されている地域や連携が進んでいる地域を調査し、子どもを育成する体制づくりに必要な概念や具体的方法を検討する。
結果と考察
調査の結果、母子健康手帳は家庭において保護者が記載、保管し、学校健康手帳は子ども自身または保護者が記載するが、将来的には子ども自身が所持するものと位置づけられた。さらに、母子健康手帳は子どもの就学を境に途切れることなく、発育発達や健康情報が思春期過ぎまで一貫して記録できるようにする方向が支持された。就学後の記録は子どもが持ち帰った学校健康手帳から転記する。このような2つの健康手帳の存在が、親子のコミュニケーションや育児支援、子どもの生涯にわたる健康づくりにつながることが期待される。モデル版として作成した母子健康手帳には、思春期も含めて科学的根拠に基づいた育児・健康情報を簡潔に記載した。また、発育グラフソフトを作成し、全国の保健師や養護教諭に配布した。連携が進んでいる秋田県岩城町においては『子どもは家庭・学校・地域の中で育成されるものであるから、地域ぐるみで健康を守る必要がある』という考えが浸透しており、子どもの健康情報が家庭と地域・学校で一貫して把握されている。愛知県小牧市では中学生まで使用できる母子健康手帳が作られており、三重県紀南地区では既製の母子健康手帳に学校での健康診断結果を記載する欄を設け、保護者と子どもが健康状態を互いに把握できるような取り組みが始められた。いずれも一貫した健康情報の把握が基本となっている。
結論
子どもを巡る問題解決のためには、母子健康手帳の継続使用などを通して、子どもの発育発達や健康状態を一貫して把握する体制づくりが基本となる。子どもの成長を継続的に見守るという共通の見地から、地域における連携が促進される。

公開日・更新日

公開日
2005-06-16
更新日
-