痴呆性疾患の介入予防に関する研究

文献情報

文献番号
200401339A
報告書区分
総括
研究課題名
痴呆性疾患の介入予防に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
朝田 隆(筑波大学大学院人間総合科学研究科病態制御医学精神医学)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 痴呆・骨折臨床研究【若手医師・協力者活用に要する研究】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
24,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
痴呆(認知症)性疾患に罹患する高齢者数は増加しつつあるのに実証的な予防法はなく、また予防が実際にどの程度可能かもわかっていない。予防介入の対費用効果を高めるには、痴呆症(認知症)の前駆期にあると判断される人を対象にすべきである。我々は既に全国の4ヶ所で地域レベルの悉皆スクリーニングから、認知機能の測定結果(約6000名の対象)を総合して全国的に使用できる判定データを作成し、同時に前駆期にある個人を診断した。これを基盤にして栄養介入等による認知症予防効果を検討する。
研究方法
茨城で地域レベルの悉皆スクリーニングを行い、痴呆症の前駆期にある個 人を診断した。このような前駆期の個人を中心に運動、栄養、睡眠からなる予防介入を行った。
介入対象への継続介入の方法としては、栄養については3月に1度の集会を開き、指導を行った上でサプリメントを配布した。このサプリメントには、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、銀杏葉エキス、抗酸化力の強いリコペンが含まれている。運動と睡眠については1月ごとに集会を催し、運動指導と身体機能評価を行った。
介入群では1年毎に、ファイブコグという集団スクリーニングテストで認知機能を、またGeriatric Depression Scaleにより主観的な気分状態を測定した。一方で末梢血中の総コレステロール、中性脂肪、各種のアポリポ蛋白など脂質の測定を行なった。そしてこの結果と認知機能・気分状態との関係を継続的に検討してきた。なお非介入群では初回評価の3年後に認知機能、身体機能、血液・生化学所見などを評価する予定で、現在進行中である。
結果と考察
脂質と認知機能の関連については、横断面では、ある時点で相関関係を認めても多くの場合、再現性は乏しかった。記憶の検査の成績を介入開始時の2回とその1年後の3回目で比較した値については、結局、総コレステロール、中性脂肪、アポリポ蛋白B、アポリポ蛋白Eとの相関、逆相関が認められた。これらのうち従来の知見を鑑みると、「4群に分けたときに最も中性脂肪が高いグループでは介入によって値が下がると記憶が良くなる」という結果は合理的なものと思われる。
結論
1年間以上介入を維持できたものは、8割余りという高い成績が得られた。そしてサプリメントを始めとする3種介入による記憶機能・運動能力・体力の改善、さらにうつ症状改善効果が得られた。

公開日・更新日

公開日
2005-04-11
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2006-02-20
更新日
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