再生医療的手法による、脳血管性痴呆症および虚血性脳血管障害に対する早期診断および予防法の確立に関する研究

文献情報

文献番号
200401337A
報告書区分
総括
研究課題名
再生医療的手法による、脳血管性痴呆症および虚血性脳血管障害に対する早期診断および予防法の確立に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
松山 知弘(兵庫医科大学〔医学部〕)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 痴呆・骨折臨床研究【若手医師・協力者活用に要する研究】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
11,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国は超高齢化社会を迎えようとしており、高齢者が健康で自立した生活を送るためには、痴呆症は克服すべき緊急の課題である。これらの疾患を克服するため、様々な研究が積み重ねられてきたが、有効な治療法を提供できない状況であり、要介護者は依然として急速に増加している。本研究では、従来の治療法とは全く異なった手法を用いて、痴呆疾患や脳血管障害患者における早期診断法や予防法を確立することを目的としている。
研究方法
本研究ではヒトにおける臨床応用を目的とした研究チームを構築し、1) 痴呆、脳梗塞患者における血管再生と神経機能の関連を明らかにするとともに、2) 神経再生に関する基礎研究を兵庫医科大学と国立循環器病センターを拠点とした共同研究体制にて推進し、これらの再生医療技術を用いた、ヒトにおける新しい治療法の開発を目的とした総合的研究を行っている。
結果と考察
本年度は、神経再生に関する基礎研究において血管系幹細胞移植が血管再生を介して神経再生を促進し、神経機能を改善させることを明らかにした。また、痴呆、脳梗塞患者における血管再生能の評価においては、末梢血中の血管血球系幹細胞の減少が脳梗塞発症と強く関連しているだけでなく、血管新生に関わる血管内皮細胞の機能の低下とも関連していることを明らかにした。これらの結果は、末梢血中の血管血球系幹細胞が脳血管のメンテナンスに関与しているだけでなく、神経組織の代謝や機能にまで影響を与え高次神経機能の低下や痴呆症の発症とも関連していることを示唆している。しかし、純粋なアルツハイマー型痴呆患者では逆に末梢血中幹細胞数の増加が観察されており、これは血管系幹細胞の質的な機能低下を反映していると考え、その評価方法に関して検討中である。
結論
我々は、血管再生と神経再生との関連について明らかにしてきたが、これらの知見に再生学的手法を取り入れることにより、痴呆患者や脳梗塞患者に対する新しい治療法として発展させることができると考えている。

公開日・更新日

公開日
2005-04-11
更新日
-