文献情報
文献番号
200401335A
報告書区分
総括
研究課題名
骨粗鬆症に伴う大腿骨頸部骨折の効果的かつ効率的予防に関する臨床的研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
高岡 邦夫(大阪市立大学大学院医学研究科整形外科学)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 痴呆・骨折臨床研究【若手医師・協力者活用に要する研究】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
11,480,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
ヒッププロテクターは骨粗鬆症に伴う大腿骨頸部骨折の予防法として開発された装具であるが、いくつかの臨床研究では非常に有用な予防方法であることが示された。しかし、その後の研究では効果がないと判定され、現時点ではやはり十分な証拠があるとは言い難い。我が国におけるヒッププロテクターの真の有効性を判定するために、無作為化試験を行った。この研究には、マンパワーが必須であり、臨床研究実施チームを結成し対応した。
研究方法
介護保険の見直しを念頭に、施設入所者を対象に、研究目的・方法を約250施設の開設者に行った。最終的には全国80施設から研究協力を得ることが出来き、合計614名のエントリーを得ることが出来た。開始時に移動能力や歩行速度についてのアンケート調査を行い、握力・体脂肪率・踵骨骨量・身体計測・アームスパン・認知度調査を行った。退所や死亡の21名を除き、コントロール群306名とプロテクター群308名を解析対象とした。また、施設間格差の影響をなくすために、衝撃度測定装置による床の硬さ調べ・介護職員数調査・過去3年にわたる利用者の転倒骨折数調査を実施した。
結果と考察
年齢・身長・体重・握力・体脂肪率・認知度・20歳時と比較しての身長低下・歩行速度・移動能力・合併症・閉経時期・アルコール、コーヒー、牛乳飲用量・睡眠薬服用頻度に関して、両群間に差を認めなかった。また、各施設の床は非常に硬く、30施設以上が「非常に硬い」床に分類されたが、コントロール群とプロテクター群間には差を認めなかった。大腿骨頸部骨折は両群あわせて23例発生し、ヒッププロテクターによる大腿骨頸部骨折抑制率は64.5%であった。世界の無作為化試験の中で、登録者数では世界第4位で、有効率では世界第2位であった。また、ヒッププロテクターにおいて最も問題となる継続率に関しては、80%以上という世界1位の成績を収めることが出来た。
結論
ヒッププロテクターの効果検証に関して、かなりの参加者数を確保することが出来たが、行政レベルで考えるとやはり十分な数とは言えない。今後は、本研究の成果を行政側に提供し、たとえば特定の地域の大腿骨頸部骨折発生率を減少させることを目的とした臨床研究を計画したい。これら一連の研究実施経過において、臨床研究実施チームの活躍はめざましく、施設の床硬さの測定・参加者の骨代謝検診・施設への月一回以上の訪問などを滞りなくこなし、信頼度の高い臨床研究にすることが出来た。
公開日・更新日
公開日
2005-04-11
更新日
-