骨及び関節疾患の診断・治療薬の開発に関する研究

文献情報

文献番号
200401408A
報告書区分
総括
研究課題名
骨及び関節疾患の診断・治療薬の開発に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
新飯田 俊平(国立長寿医療センター研究所 運動器疾患研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 池田 恭治(国立長寿医療センター研究所 運動器疾患研究部)
  • 林 眞一(鳥取大学 医学部)
  • 高田 隆(広島大学大学院 医歯薬学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 痴呆・骨折臨床研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
18,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 高齢者における病的な関節破壊や歯槽骨吸収は著しいQOLの低下を招く原因になることから、その改善方法が社会的ニーズとなっている。本研究は、新規の骨吸収因子として同定したガンマ・グルタミルトランスペプチダーゼ(GGT)を標的とした新たな骨吸収抑制剤の開発と、骨折リスクの早期認知を国民が広く利用できる廉価な骨吸収マーカーとして開発を目指し、GGTのもつ破骨細胞誘導機序の解明、病的破骨細胞形成に関する生物学的特性の解明、骨吸収亢進と尿に漏出するGGTの関連性を解明する。
研究方法
 骨髄細胞培養系や骨芽細胞と骨髄血球細胞の共存培養系を用いた破骨細胞形成の解析。関節炎マウスや歯周病モデルラットを用いた歯槽骨破壊とGGTとの関連性の解析。GGT過剰発現マウスの作製とその解析。関節炎マウスに対する抗GGT抗体投与による関節破壊抑制効果の検討。骨吸収亢進マウスを用いた尿中GGTの変動などの解析。集団検診による尿GGT測定と既存の骨吸収マーカーとの相関性に関する統計学的解析。
結果と考察
 GGTを骨髄細胞などに作用させると、特定の骨吸収因子の産生が亢進することを明らかになり、GGTによる骨破壊機序の一端が明らかになってきた。関節炎マウスと歯周病ラットの観察から、炎症があるとプラズマ細胞やマクロファージなどでGGT発現が見られた。GGTの過剰発現マウスでは骨粗鬆症傾向が示された。これらの結果から骨周辺のGGTの発現は骨吸収に作用している可能性がある。抗GGT抗体を投与した関節炎マウスでは破骨細胞の減少が見られた。骨吸収亢進モデルマウスでは、尿GGT値が高く、骨吸収抑制剤投与で値が低下することから、骨吸収と尿GGT値の関連性が示唆された。インフォームドコンセントの下で行なった集団検診から尿GGT値が既存の骨吸収マーカーと良好な相関を示すことが明らかになった。
結論
 GGTは生体内でも骨吸収に対して促進的に作用することが示された。またGGTは炎症性骨破壊の抑制に際し、標的として利用できる可能性が示唆された。尿GGTの上昇が骨吸収亢進を示唆する可能性が示された。

公開日・更新日

公開日
2005-04-11
更新日
-