高齢者の腰痛症に係るより効果的かつ効率的な診断、治療、介護及びリハビリテーション等の確立に関する研究

文献情報

文献番号
200400358A
報告書区分
総括
研究課題名
高齢者の腰痛症に係るより効果的かつ効率的な診断、治療、介護及びリハビリテーション等の確立に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
戸山 芳昭(慶應義塾大学医学部整形外科学教室)
研究分担者(所属機関)
  • 菊地 臣一(福島県立医大整形外科学教室)
  • 中村 耕三(東京大学医学部整形外科学教室)
  • 四宮 謙一(東京医科歯科大学医学部整形外科学教室)
  • 千葉 一裕(慶應義塾大学医学部整形外科学教室)
  • 持田 讓治(東海大学医学部整形外科学教室)
  • 武政 龍一(高知大学医学部整形外科学教室)
  • 市村 正一(杏林大学医学部整形外科学教室)
  • 藤野 圭司(藤野整形外科医院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 痴呆・骨折臨床研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
23,840,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
腰痛の原因は、退行性疾患、椎間板変性、筋力低下、姿勢異常など多岐にわたる。本症を有する多くの国民を救済すべく、現在、第一線で積極的に研究活動を行っている班員を招集して、その病態と原因の解明、そして新たな診断、治療方法、さらには介護やリハビリテーションプログラムの確立について研究を進めた。
研究方法
有限要素法解析モデルを用いた非侵襲の骨強度予測評価と、胸腰椎圧迫骨折患者における電気生理学的手法の有用性を検証し、生化学的、分子生物学的手法による椎間板変性の病態解明を行った。また、腰部脊柱管狭窄と腰椎椎間板ヘルニアについて臨床疫学的データを収集し、診断基準作成の一助とした。再生医療の基礎検討、バイオマテリアルを用いた新しい椎体形成術の開発を行った。さらに、脊椎圧迫骨折保存療法例について臨床評価を行い、腰痛に対する予防検診および運動療法の効果を検討した。
結果と考察
腰痛患者の臨床症状から疾患予測についての臨床疫学的データを大規模に収集した。骨強度予測解析法を骨粗鬆性腰椎に応用できる方法へ改良した結果、明瞭に椎体上方に骨折線がみられ、実際の骨折線部と一致していた。腰背部表面筋電図と経頭蓋磁気刺激・下肢誘発筋電図測定により胸腰椎圧迫骨折に伴う腰痛の原因は神経性ではなく筋肉性であることが明らかになった。3次元培養法を用いて髄核細胞と線維輪細胞との基質代謝様式の違いを生化学的に解析すると、両細胞の基質代謝様式は異なり、加齢とともにTGFβやTIMPの発現量は減少することが明らかになった。自家、同種骨髄間葉系幹細胞との共存培養法に成功した。リン酸カルシウムセメントを用いた椎体形成術を開発した。脊椎圧迫骨折保存療法例についての臨床データを収集した結果、多椎体骨折、Ⅲ度骨粗鬆症、後壁損傷が骨折不安定性を増大させる成績不良因子であった。またQOL評価法としてのJLEQは、RDQと同程度の信頼性を有し、さらに詳細な腰痛評価が可能であった。
結論
本研究班におけるこれらの成果を統合することによって、高齢者の腰痛が予防でき、また低侵襲の治療に加えて、社会復帰、自立に向けた効果的な指針を作成することで、国民の生活機能改善への一助とする。

公開日・更新日

公開日
2005-04-11
更新日
-