わが国におけるStroke unitの有効性に関する多施設共同前向き研究

文献情報

文献番号
200400357A
報告書区分
総括
研究課題名
わが国におけるStroke unitの有効性に関する多施設共同前向き研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
峰松 一夫(国立循環器病センター(病院))
研究分担者(所属機関)
  • 成冨 博章(国立循環器病センター(内科脳血管部門))
  • 安井 信之(秋田県立脳血管研究センター)
  • 畑  隆志(横浜市立脳血管医療センター)
  • 岡田 靖(国立病院九州医療センター)
  • 豊田 章宏(中国労災病院勤労者リハビリテーションセンター)
  • 豊田百合子(国立循環器病センター)
  • 長谷川泰弘(国立循環器病センター(内科脳血管部門))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 痴呆・骨折臨床研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
24,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 Stroke unit(SU)による脳卒中治療の有効性は、主に欧州を中心に行われた研究によって確立され、わが国の「脳卒中治療ガイドライン2004」でも、グレードA(行うよう強く求められる)に位置づけられている。しかし、医療体制の異なるわが国においてどのような SUをどのように普及させればよいかを考察すべき材料はほとんど無い。本研究の目的は、わが国の医療体制に即した有効なSUのありかた(定義、具備すべき条件)を明らかにし、SUにより提供される脳卒中医療の質を評価可能なものとすることにある。
研究方法
 発症3日以内に入院した完成型脳卒中全例を、多施設共同で、前向きに登録調査する。一次評価項目は、3ヶ月後の死亡率、自立(modified Rankin Scale、 mRS 0-2)の有無、二次評価項目は、Barthel Index,在院日数、再発増悪率として、あらかじめ類型化した参加施設の診療形態、地域の特性等と、アウトカムとの関係を、最終データ固定後に多変量解析により解析する。研究中途における診療形態の変更(非SUからSUへの変更)を行った施設については、変更前後のアウトカムの変化を検証する。
結果と考察
全国7,835の有床病院を対象に、アンケートによる脳卒中急性期診療の実態調査を行うとともに、研究への参加を募り、脳卒中診療形態の異なる115施設からなる研究班を組織した。全国調査の結果、すでにメタ解析の結果有効性が確認されている「急性期の治療と、その後のリハビリを行う」脳卒中専門病棟を有する施設は7.4%に過ぎず、63.8%が「一般病棟混在」型での治療を行っていた。参加115施設の診療形態は、脳卒中専門病棟(SU) 29、Mixed assessment/rehabilitation unit 型38、Mobile stroke team 型13、一般病棟混在型 31、その他の型 4であった。12月より患者登録作業を開始し、平成17年12月末日まで続け、平成18年3月末日に、全追跡調査が完了する。
結論
 SUを有する施設が増えつつあるものの、その数は未だ少なく、SUの定義もあいまいなままである。このため、SUで提供されている医療の質を評価する方法も確立されていない。本研究により、SUに関するわが国独自のエビデンスが得られ、適切な定義に基づく質の保証されたSUの普及促進に役立つものと思われる。

公開日・更新日

公開日
2005-03-30
更新日
-