虚弱高齢者の自立度と身体活動及び栄養の関係に関する実践研究

文献情報

文献番号
200400356A
報告書区分
総括
研究課題名
虚弱高齢者の自立度と身体活動及び栄養の関係に関する実践研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
高田 和子(独立行政法人国立健康・栄養研究所健康増進研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 長屋 政博(国立長寿医療センター)
  • 熊谷 修(東京都老人総合研究所 地域保健研究グループ )
  • 松原 充隆(名古屋市総合リハビリテーションセンター)
  • 川合 秀治(全国老人保健施設協会)
  • 橋本 修二(藤田保健衛生大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 痴呆・骨折臨床研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
13,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
高齢者の身体活動や栄養と自立度の関係の検討及び、異なった自立度の高齢者に対する身体活動及び栄養の介入を行い、自立度のレベルに応じた身体活動量や栄養のあり方、介入のあり方に関する資料を作成することを目的とする。
研究方法
本年度は、長期的な介入効果の検討、栄養に関するデータの蓄積、運動と栄養の複合的な介入効果の検討を行うため、老人ホームにおける栄養・運動指導の効果、地域高齢者を対象とした栄養と自立度の関係、リハビリテーションセンターにおける運動指導の効果、地域在住高齢者における食事の特徴、地域在住高齢者に対する軽度のトレーニング効果について検討した。
結果と考察
老人ホームにおける運動指導では、8週の介入で筋力および行動の活発化を促進するものの、栄養状態の改善にはつながらず、むしろ、運動が負荷になる可能性も示唆された。地域高齢者を対象とした栄養と自立度については、筋力の加齢低下が身体栄養状態の独立的な規定要因であること,運動習慣が地域在宅高齢者の栄養状態改善の促進要因であることを縦断研究と介入研究で明らかにした。老化の規定要因は相互に連関しており、筋力を高めるプログラムと栄養改善プログラムを組み合わせることが効果的と考えられた。リハビリテーションセンターでの運動指導では、運動継続1年ではレッグパワー、歩行速度などの改善が明らかであった。運動継続1年後と2年後の比較では、総合運動能以外の項目では明らかな改善がみられなかった。長期の介入にあたっては処方の見直しや段階的な運動プログラムの作成が必要と考えられた。地域在住高齢者の食事摂取の多様性得点を低くしている要因は男性では、一人暮らし、歯や入れ歯の具合が悪く食事が十分にとれない、自分の歯が20本以下、朝食の摂取が週に3回以下、間食の摂取が週に3回以下であり、女性では歯や入れ歯の具合が悪く食事が十分にとれないのみで、必要な栄養に関する情報や食事サポートのニーズには男女差があることが推測された。また、地域在住高齢者を対象として、週に1回のアイソメトリックな筋力トレーニングとプールでの運動を組み合わせた運動の教室を実施し、6ヵ月後の評価中である。
結論
高齢者における自立度維持に関して、運動の実施による体力の向上は認められたが、長期の継続においては、介入内容の変更や、効果判定の方法に工夫が必要と考えられた。対象によっては運動の実施が身体の栄養状態には、負担になる可能性も認められ、今後、運動と栄養の両面からの適切な介入内容を検討する必要がある。

公開日・更新日

公開日
2005-04-11
更新日
-