脳卒中患者の機能回復促進に関する研究

文献情報

文献番号
200400354A
報告書区分
総括
研究課題名
脳卒中患者の機能回復促進に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
宮井 一郎(特定医療法人大道会ボバース記念病院神経リハビリテーション研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 久保田 競(日本福祉大学大学院情報・経営開発研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 痴呆・骨折臨床研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
脳卒中に対する回復期リハビリテーション(リハ)を現実的効果(I)と脳科学(II)から検証し、誰にいつ何をどこでどの期間行うべきか、提言する。
研究方法
I-1 急性期リハが回復期リハ転帰に与える影響、I-2 回復期リハの最適な入院期間、II-1 上肢近位筋麻痺の臨床的特徴、II-2 体重免荷(BWS)の歩行時の脳活動に及ぼす影響、II-3 歩行観察が歩行時の脳活動に及ぼす影響、II-4 高齢者の歩行訓練による脳賦活の変化について検討した。後三者は光イメージングを用いた。
結果と考察
I-1.脳卒中290例で急性期病院での早期リハ開始は、同等麻痺でより良好なADLでの回復期リハ開始に貢献した。急性期リハが遅れても,ADLは3ヶ月で早期例と同等にまで到達した。
I-2.脳卒中444例で軽症は発症後3ヶ月で8割,中等症は5ヶ月で5割が自立歩行を獲得したが,重症では6ヶ月で1割であった。老老介護が可能な監視歩行は,重症では3ヶ月で1割と回復が遅延するが6ヶ月で8割が獲得し、長めの訓練と家族指導や環境設定の併用で自宅復帰可能になる。実用手は重症では6ヶ月で1割のみであった。
II-1.実用手獲得困難の原因の一つに近位筋麻痺がある。遠位麻痺では被殻や内包病変が主であるが、近位麻痺では放線冠中部に限局していた。運動誘発電位の出現分布は麻痺分布と一致し,潜時は麻痺の重症度と相関,振幅は病巣容積と逆相関した。実用手獲得は麻痺分布と重症度に規定された。
II-2.脳卒中患者ではBWSで歩行が対称化し、感覚運動野活動が有意に低下した。階層的な歩行制御系の下位へのシフトや自動的な歩行との関連が示唆された。
II-3.歩行観察下の歩行では、左背側運動前野賦活が上昇し、同部の観察と自己歩行の一致への関与が示唆され、リハ応用への基礎データが得られた。
II-4.高齢者では、歩行開始と維持に必要な感覚運動野、運動前野、前頭前野活動は、日常の歩行量や強度に影響されており、歩行に関与する脳活動低下を歩行習慣で予防できる可能性が示唆された。
結論
脳卒中に対する早期リハ開始は,回復期リハ転院時の良好なADLに貢献し、回復過程を早めた。重症例では、長めの入院期間と環境調整で自宅復帰が可能になる。脳科学の観点から、上肢近位筋麻痺の生理学的基盤、体重免荷の自動的歩行制御促進効果、運動観察や歩行習慣の脳賦活効果を検証した。

公開日・更新日

公開日
2005-04-11
更新日
-