転倒骨折予防運動訓練の効果改善プログラムの研究

文献情報

文献番号
200400351A
報告書区分
総括
研究課題名
転倒骨折予防運動訓練の効果改善プログラムの研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
永富 良一(東北大学大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 芳賀 博(東北文化学園大学大学院健康社会システム研究科)
  • 大瀧 保明(東北大学未来科学技術共同研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 痴呆・骨折臨床研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
5,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
転倒予防を目的とした虚弱高齢者向けの運動教室には地域の状況に応じた対象者の選定・訓練の方法・長期的な効果の維持など解決すべき問題は多い。そこで本研究では、1)訓練対象者のスクリーニング、2)集団転倒予防プログラムの効率化、3) 転倒予防教室への不参加理由、4)簡便なバランス検査の検証を行った。また転倒予防効果を維持するための自主グループを立ち上げた。
研究方法
仙台市宮城野区鶴ヶ谷地区在住高齢者2582名(70~84才)に:1) Motor Fitness Scale (MFS)を主体とする質問紙を郵送し、MFS8点以下の回答者にバランス検査を実施し、対象者の重点化を試みた。2)重点化対象者をUp&Go試験で2階層に層別化後、従来型混合教室と能力別教室に無作為に割り付け週1回3ヶ月間の転倒予防教室を実施し、能力別指導の効果を検証した。3)教室不参加者に郵送質問紙による不参加理由の調査を実施した。4)簡便なバランス評価のための横リーチテスト(LFR)の妥当性を床反力計により検証した。5)運動機能維持のために地域住民より公募した運動支援リーダーを養成し自主活動グループを立ち上げた。
結果と考察
1)地域高齢者2059名(79.5%)から質問紙の回答を得た。MFS8点以下の573名のうち、124名が体力測定に参加。転倒経験者はMFS8点以下32.2%、9点以上22.6%と差があり、重点化可能であることが示された。2)上記124名中95名を混合教室と能力別教室に割付け3ヶ月間の筋力・バランス訓練を実施。全体ではバランス機能の改善はなかったが、低下者はほとんどなく維持効果がみられた。群間差はなかったが混合教室ではバランス機能の一部が有意に低下した。高齢者30名あたり2名割り当てた指導者の負担は能力別の方が小さく、能力別指導の優位性が確認された。3) MFS8点以下の教室不参加者232名のうち30%が通院中、16%が外出困難、16%が自信がないと回答し、送迎や動機づけが重要であることがわかった。4) 重心動揺距離とLFR到達距離との間に有意な相関がみられ、効果判定に有用であることが示された。5) 42名の地域運動推進リーダーを中心にした自主運動グループ「鶴ヶ谷リフレッシュ倶楽部」に200名を超える地域高齢者が参加し活動を開始した。
結論
質問紙MFSによるスクリーニング、能力別運動指導により転倒予防訓練の効率化が可能である。

公開日・更新日

公開日
2005-05-10
更新日
-