ヒッププロテクターによる介護施設の大腿骨頚部骨折予防研究-製品差の検討-

文献情報

文献番号
200400350A
報告書区分
総括
研究課題名
ヒッププロテクターによる介護施設の大腿骨頚部骨折予防研究-製品差の検討-
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
原田 敦(国立長寿医療センター)
研究分担者(所属機関)
  • 猪田 邦雄(名古屋大学医学部 保健学科)
  • 長屋 政博(国立長寿医療センター)
  • 徳田 治彦(国立長寿医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 痴呆・骨折臨床研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
19,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ヒッププロテクターは、硬性品から軟性品まで多様で、力学性能やコンプライアンスには当然製品差があるが、その臨床検討はなされていない。そこで本研究では、介護施設入所者の大腿骨頚部骨折予防効果における製品差を比較する臨床試験を行う。
研究方法
研究デザインは、コントロールと2製品を直接比較する無作為試験である。目標症例数は600名で期間は1年で、参加基準は、介助車いす以上の移動能力の介護施設入所女性で、大腿骨頚部骨折リスクを1つ以上有する者とした。ヒッププロテクターは販売中7製品から衝撃試験にて選定する。開始時調査項目は、病歴、転倒・骨折歴、服薬状況、認知能力、ADL、踵骨超音波骨評価、骨関連血液生化学評価で、MMSE15点以上の者には、筋力、バランス、歩行速度、身体活動量、QOL、転倒不安評価を行う。開始後は、ヒッププロテクター装着状況と感想、転倒と転倒傷害、転倒時装着を介護者が毎日記録し、大腿骨頚部骨折発生率を3群間で比較する。
結果と考察
衝撃力減衰効果は、硬性のセーフヒップと軟性のヒップスターで差がなかったので、この2製品を本試験で採用した。平成16年度末で、31の老人介護施設施設が参加を表明し、年度末で参加者397名が硬性品群130名、軟性品群148名、コントロール群119名に割付された。MMSE15点以上での解析では転倒不安は大きく、QOL は身体的サマリースコアより精神的サマリースコアが高かく、静的バランスよりも動的能力低下がみられた。開始後から年度末まで短期のため大腿骨頚部骨折は起こっていない。本試験は施設への呼びかけと説明、入所者への説明同意、初期評価とその後の本試験の開始を同時進行で行っており、対象数は目標の66%に達したところである。採用したヒッププロテクターは、力学性能がほぼ等しいと考えられ、成績は着用率にかかる比重が高いと思われる。軽いが硬い硬性品と重いが柔らかい軟性品の間で蒸し暑い夏や寒い冬の装着率、おむつ使用の影響、夜間から早朝の装着率などに製品差があれば、転倒時装着率の差となって骨折率も変化すると予想される。
結論
ヒッププロテクターの製品差を明らかにするべく、無作為比較試験が介護施設入所者を対象に開始され、397例まで参加が決定している。今後の症例組み入れ追加と1年間の観察にてヒッププロテクターの製品差が多様な観点から解析される予定である。

公開日・更新日

公開日
2005-07-19
更新日
-