痴呆性高齢者におけるケアサービスの質的評価に関する研究

文献情報

文献番号
200400343A
報告書区分
総括
研究課題名
痴呆性高齢者におけるケアサービスの質的評価に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
遠藤 英俊(国立長寿医療センター包括診療部)
研究分担者(所属機関)
  • 数井 裕光(大阪大学大学院医学研究科)
  • 櫻井 孝(神戸大学大学院医学系研究科)
  • 浦上 克哉(鳥取大学医学部保健学科)
  • 桑野 康一(特定非営利活動法人シルバー総合研究所)
  • 梅垣 宏行(名古屋大学医学部附属病院老年科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 痴呆・骨折臨床研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
13,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は痴呆(認知症)介護サービスの質の確保と向上に関して、痴呆性高齢者の介護に関する実証的研究を行うことを目的とした。
研究方法
遠藤はGHの自己評価表を用いて、管理者と介護職員に評価してもらい、その信頼性の検討を行った。数井は介護サービスに対する満足度についてアンケート調査を行い、利用者に対してQOL-Dを用いて観察評価を行った。また主介護者に対してもアンケート調査を行い、サービス満足度調査と介護負担感の調査を行った。梅垣は認知症高齢者のADL、認知機能および行動・心理症候(BPSD)の頻度と対応の困難さについてサービスの質的評価を中心に調査した。櫻井はGHの自己評価表を用いて、新設のGHと既存の施設との比較研究を行った。浦上はデイサービス(DS)利用者とGH入居者の比較を行い、生活健康スケール、T細胞等のリンパ球の変化、POMSを用いた介護家族の調査を行った。桑野らは痴呆ケアマッピングの手法を用いて、介護施設、DSでの質的評価に関する研究を行った。
結果と考察
遠藤は自己評価表では管理者と介護職で結果の相違があり、職員間でも一致しないことが判明した。また同じ事業者で歴史の短い、中間、長い新設間で比較した。平均点数が開設の時間と相関がみられ、新設のGHでは標準偏差が大きかった。数井は介護の満足度は高いものの、主介護者の意見はばらつきがみられ、事業者の職員の教育に課題があることを明らかにした。梅垣らはGHの入居者ではBarthel Index が平均16.2点、MMSEが平均13.2点であった。GHでは、「異常な性行動」、「暴言・暴行」、「感情不安定」などの対応が困難であった。櫻井は自己評価を用いたGHでの研究で未熟なGHでは運営体制、ケアマネジメントなどにおいて有意な差がみられた。浦上らは生活健康スケールで、「生き生きとした目をしている」の項目がGHで高かった。またCD8+T細胞がGH群 でDS群に比較して高値の傾向を示した。桑野らはマッピングにより行動カテゴリー分析、WBI値の比較または変動、PEやPDの内容と頻度の分析により質の評価が可能性であることが明らかになった。
本研究は痴呆ケアにおける介護サービスの質的評価について種々の方法論を用いて検討した。その結果、自己評価の課題、相互評価の可能性、第三者評価の課題、QOLの評価を導入した家族・利用者評価の有用性について検討した。
結論
多面的研究により介護サービスの評価はまだ十分でなく、今後利用者のQOLを中心に、ケアの質を評価できるシステムの構築が必要である。

公開日・更新日

公開日
2005-04-14
更新日
-