従来型施設における痴呆性高齢者環境支援指針の適用による環境改善手法の開発と多面的評価

文献情報

文献番号
200400342A
報告書区分
総括
研究課題名
従来型施設における痴呆性高齢者環境支援指針の適用による環境改善手法の開発と多面的評価
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
足立 啓(和歌山大学システム工学部)
研究分担者(所属機関)
  • 湯沢 八江(国際医療福祉大学大学院看護学)
  • 森 一彦(大阪市立大学大学院生活科学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 痴呆・骨折臨床研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
従来型特別養護老人ホームや老人保健施設での個別的ケアなど、居住者のQOL向上・環境改善は急務である。本研究では、全国実態調査を通じての現状課題抽出とともに、支援方法開発やその有効性の検証をする。
研究方法
全国の従来型施設におけるユニットケア/グループケア実施状況をアンケート調査(外部委託)。施設環境条件・ケア内容・規模・課題等を、学術的から介護現場を含む多面的視点によって、施設平面類型別に把握・分析した。また定型自由記述法を用い、既存施設への環境改善ニーズの収集と分析も行った。一方、ユニット化を開発先駆的に成功した従来型の先進事例(数箇所)を訪問調査し、これまでのユニットケア施設に関する研究成果と併せて、大規模施設空間の建築改善手法の開発につなげる。また、感染性疾患予防の視点から、施設環境改善が入居者の健康問題に与える影響について効果を測定し、施設内感染予防のためのスタッフ教育用プロトコル作成、施設環境整備と感染予防効果との関連を検証(対照群との比較)した。
結果と考察
アンケート調査有効回答数1575施設(回収率は30%)のうち、429施設(回答施設の27%)が従来型施設で何らかのユニットケア実施しており、施設の意向、評価等が把握できた。併せて、サンプリング12施設事例訪問調査を予備的に実施し、従来型施設の平面計画の特性をプランタイプ別分類と、ユニット単位毎で現状を把握した。環境支援指針PEAP(日本版3)を用いた、改善前・後の介入調査では、施設体制の違いにより進行度に大差がみられた。環境づくりを業務の一環とする施設は、PEAP評価と環境配慮の実施度が飛躍的に上昇したが、その他の施設では研修会を通して変化がみられなかった。今後は施設の運営体制や取組みに重点を置き、ケア環境再構築の基盤とする。一方、ユニットケア環境整備における介護職員の調査において、バーンアウト得点とストレス内容得点の増加がみられた。環境整備を良好に継続するには、コミュニケーションの活性化、情報交換、職場システム環境づくりの促進の重要性も示された。
結論
全国アンケート調査により、全国レベルでのユニットケアの現状が初めて把握され、政策決定に関する基礎的資料も提供できた。また感染症管理の視点からも、予防効果の重要性が示された。先進事例の訪問調査、従来型施設のユニット化や環境改善手法指針作成に関する次年度の布石となった。

公開日・更新日

公開日
2005-05-17
更新日
-