痴呆性疾患の介入予防に関する研究

文献情報

文献番号
200400338A
報告書区分
総括
研究課題名
痴呆性疾患の介入予防に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
朝田 隆(筑波大学大学院人間総合科学研究科病態制御医学精神医学)
研究分担者(所属機関)
  • 山田 達夫(福岡大学医学部第5内科)
  • 田邉 敬貴(愛媛大学医学部神経心理学)
  • 矢冨 直美(東京都老人総合研究所)
  • 白川 修一郎(国立精神・神経センター精神保健研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 痴呆・骨折臨床研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
22,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
痴呆(認知症)性疾患に罹患する高齢者数は増加しつつあるのに、実証的な予防法はない。また予防が実際にどの程度可能かもわかっていない。そこで痴呆症(認知症)の1次・2次予防法を確立する必要がある。予防介入の対費用効果を高めるには、ある地域の住民の全てではなく、痴呆症(認知症)の前駆期にあると判断される人を対象にすべきである。
そこで基本となるのは、地域レベルでの痴呆症(認知症)に対する神経心理学的手段と脳画像による前駆期を診断する方法の確立である。
研究方法
我々は既に全国の4ヶ所で地域レベルの悉皆スクリーニングから、認知機能の測定結果(約6000名の対象)を総合して全国的に使用できる判定データを作成し、同時に前駆期にある個人を診断した。そして前駆期にある住民に対して経年的にMRI、SPECT撮像を行っている。この結果から前駆期に特徴的な脳機能画像所見を明らかする。またアポリポ蛋白など末梢血中の脂質に注目して認知機能との関係を継続的に検討する。
このような基礎的なデータ収集とともに、利根町では前駆期にある個人を中心に運動、栄養、睡眠からなる予防介入を行い、経年的に認知機能を評価し効果を検討する。
結果と考察
既に記憶機能及びうつ気分の改善効果を明らかにした。また大分県、東京都でも前駆状態にある個人に対して類似の方法で介入し認知機能低下の進行阻止を確認した。さらに愛媛県では47名を対象に痴呆予防体操を継続したところ、心身両面での改善効果が認められた。一方、睡眠と運動の相互関係の生理学的基盤の一部を明らかにした。
結論
全国の4ヶ所で地域レベルの悉皆スクリーニングから、認知機能の測定結果(約6000名の対象)を総合して全国的に使用できる判定データを作成し、前駆期にある個人を診断した。これは年齢、性別、教育年数などを考慮して標準化されたものであるから全国の何処でも認知機能や認知症前駆状態等のスクリーニングに利用できる。新たな介入法による認知機能への効果を示した。
前駆期にある住民に対して経年的にMRI、SPECT撮像を行い、前駆期に特徴的な脳機能画像所見を明らかにした。
このような基礎的なデータ収集とともに、利根町では前駆期にある個人を中心に運動、栄養、睡眠からなる予防介入を行っているが、とくにフリフリグッパーと称した有酸素運動がポイントになっていると思われる。

公開日・更新日

公開日
2005-04-11
更新日
-