漢方薬(十全大補湯)による術後感染症予防

文献情報

文献番号
200400335A
報告書区分
総括
研究課題名
漢方薬(十全大補湯)による術後感染症予防
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
北島 政樹(慶應義塾大学 医学部外科学教室)
研究分担者(所属機関)
  • 北川 雄光(慶應義塾大学 医学部外科学教室)
  • 今津 嘉宏(済生会中央病院 外科)
  • 大前 和幸(慶應義塾大学 衛生学教室)
  • 今井 栄子(慶應義塾大学病院 看護部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
7,485,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
漢方薬(十全大補湯)が、消化器領域の癌手術における術後感染症の予防に有用であるかどうかを検討する。
研究方法
慶應義塾大学病院外科と済生会中央病院外科において、消化器領域の癌(食道癌、胃癌、大腸癌)により全身麻酔下で開腹ないし内視鏡手術を受ける患者のうち、40歳以上の患者を対象とし、十分に研究の趣旨を説明し、文書による同意を得た上で、コントローラーにより十全大補湯服用群、偽薬服用群に無作為割付される。割付は原発部位およびステージにより層別化する。服薬期間は術前の服薬可能な時期までの1週間および術後4週間目までの経口可能な時期に投与する。エンドポイントとして、30日以内に発生する(1)創感染および縫合不全(2)感染合併症(肺炎、尿路感染症など)(3)カテーテル感染を検討する。また、全身性炎症反応症候群-代償的抗炎症反応症候群、栄養状態についても評価する。
結果と考察
研究担当者である慶應義塾大学医学部外科ならびに済生会中央病院外科との間で研究プロトコールについての検討会を開催し、最終プロトコールを決定した。平成17年2月までに食道がん24例(慶應のみ)(61.8±7.6歳)、胃がん35例(慶應20例、済生会15例)(64.3±10.3歳)、大腸がん25例(慶應4例、済生会21例)(70.9±10.4歳)の登録があった。脱落例は計6例(食道がん1例、胃がん3例、大腸がん2例)であった。いずれも服薬が困難という理由からであった。
30日以内の感染の有無については食道がんでは、実薬群10例中感染例は4例(縫合不全3例、肺炎1例)偽薬群13例中2例(縫合不全1例、肺炎1例)であった。胃がんでは実薬群12例中感染例は2例(創感染)、偽薬群11例中1例(創感染)で研究を行っている。大腸がんでは実薬8例中感染例1例、偽薬群7例中2例であった。食道がん、胃がん、大腸がんとも実薬群、偽薬群間での感染に対する有意差は認められなかった。
サイトカインの解析では食道がん患者を対象に術前、術日、術後1,2,3,7日目にIL-2、IL-4、IL-6、IL-8、IL-10、GM-CSF、IFN-γ、TNF-α、IL-1βにつき測定した。術後これらサイトカインの一過性上昇が認められたが、特にIL-6、IFN-γについては術後1日目に顕著な増加が認められた。これらにつき実薬群、偽薬群で検討したが、有意な差は認められなかった。
結論
十全大補湯を用いた術後感染症予防のRCT研究において、食道がん、胃がん、大腸がんにおいて実薬群、偽薬群で術後感染症の発症率に差は認められなかった。今後症例を重ねてさらに検討する必要があると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2005-11-11
更新日
-

文献情報

文献番号
200400335B
報告書区分
総合
研究課題名
漢方薬(十全大補湯)による術後感染症予防
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
北島 政樹(慶應義塾大学 医学部外科学教室)
研究分担者(所属機関)
  • 北川 雄光(慶應義塾大学 医学部外科学教室)
  • 今津 嘉宏(済生会中央病院 外科)
  • 大前 和幸(慶應義塾大学 衛生学教室)
  • 今井 栄子(慶應義塾大学 病院看護部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
漢方薬(十全大補湯)が、消化器領域の癌手術における術後感染症の予防に有用であるかどうかを検討する。
研究方法
慶應義塾大学病院外科と済生会中央病院外科において、消化器領域の癌(食道癌、胃癌、大腸癌)により全身麻酔下で開腹ないし内視鏡手術を受ける患者のうち、40歳以上の患者を対象とし、十分に研究の趣旨を説明し、文書による同意を得た上で、コントローラーにより十全大補湯服用群、偽薬服用群に無作為割付される。割付は原発部位およびステージにより層別化する。服薬期間は術前の服薬可能な時期までの1週間および術後4週間目までの経口可能な時期に投与する。エンドポイントとして、30日以内に発生する(1)創感染および縫合不全(2)感染合併症(肺炎、尿路感染症など)(3)カテーテル感染を検討する。また、全身性炎症反応症候群-代償的抗炎症反応症候群、栄養状態についても評価する。
結果と考察
研究担当者である慶應義塾大学医学部外科ならびに済生会中央病院外科との間で研究プロトコールについての検討会を開催し、最終プロトコールを決定した。平成17年2月までに食道がん24例(慶應のみ)(61.8±7.6歳)、胃がん35例(慶應20例、済生会15例)(64.3±10.3歳)、大腸がん25例(慶應4例、済生会21例)(70.9±10.4歳)の登録があった。脱落例は計6例(食道がん1例、胃がん3例、大腸がん2例)であった。いずれも服薬が困難という理由からであった。
30日以内の感染の有無については食道がんでは、実薬群10例中感染例は4例(縫合不全3例、肺炎1例)偽薬群13例中2例(縫合不全1例、肺炎1例)であった。胃がんでは実薬群12例中感染例は2例(創感染)、偽薬群11例中1例(創感染)で研究を行っている。大腸がんでは実薬8例中感染例1例、偽薬群7例中2例であった。食道がん、胃がん、大腸がんとも実薬群、偽薬群間での感染に対する有意差は認められなかった。
サイトカインの解析では食道がん患者を対象に術前、術日、術後1,2,3,7日目にIL-2、IL-4、IL-6、IL-8、IL-10、GM-CSF、IFN-γ、TNF-α、IL-1βにつき測定した。術後これらサイトカインの一過性上昇が認められたが、特にIL-6、IFN-γについては術後1日目に顕著な増加が認められた。これらにつき実薬群、偽薬群で検討したが、有意な差は認められなかった。
結論
十全大補湯を用いた術後感染症予防のRCT研究において、食道がん、胃がん、大腸がんにおいて実薬群、偽薬群で術後感染症の発症率に差は認められなかった。今後症例を重ねてさらに検討する必要があると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2005-11-11
更新日
-