在宅高齢者に対する訪問リハビリテーションのプログラムとシステムに関する研究

文献情報

文献番号
200400330A
報告書区分
総括
研究課題名
在宅高齢者に対する訪問リハビリテーションのプログラムとシステムに関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
大川 弥生(国立長寿医療センター研究所 生活機能賦活研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 野中 博(日本医師会)
  • 生田 宗博(金沢大学医学部 保健学科)
  • 中村 茂美(日本作業療法士協会)
  • 木村 隆次(全国介護支援専門員連絡協議会)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
24,036,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 在宅高齢者の「生活機能」(WHO・ICF)の維持・改善のための訪問リハビリテーション(以下、リハと略す)のあり方を明らかにする。特に具体的プログラムと、介護・医療・保健システム全体の中での位置づけを明確にする。
研究方法
 昨年度までの医療・介護保険サービス下の訪問リハについての検討の綿密化についての継続研究に加え、今年度は介護予防における「水際作戦」の有効な手段としての訪問リハの必要性・あり方に重点をおいて以下の研究を行った。○在宅高齢者における生活機能(ICFモデルに基づく)の実態調査(対象:O市の在宅高齢者悉皆調査;5961名:回答率96.3%<質問紙手渡し留め置き回収法>。要介護認定者悉皆調査;463名:98.9%。<直接面接法>)。このうち要介護者については担当介護支援専門員について介護予防の観点からの調査も実施。○水際作戦のパイロットスタディとしてM市に「生活機能相談窓口」を設置し、その内容の要として訪問リハを位置づけ、効果を検討した(N=113)。他
結果と考察
○在宅非要介護認定の高齢者でも、種々の「活動」について低下している者が1~3割認められ、その中で過去1年以内に低下したものが0.5~1割あった。これにより「活動」を明確なターゲットとした「水際作戦」としての実生活の場での活動自立訓練の重要性が明らかとなった。○「生活機能相談窓口」についての標準プログラムづくりを行い、その実施により113名中43名(38.0%)が3回以内の訪問指導で、何らかの「活動」の「している活動」レベルでの自立度の向上を示した。また98名(86.7%)において「参加」・「活動」レベルの向上により生活の活発化がみられた。○訪問リハとしての具体的内容のポイントはⅰ)廃用症候群発生契機の類型の判定とそれにもとづく指導、ⅱ)「活動」自立にむけての指導である。その際理学療法士・作業療法士だけでなく保健師、介護支援専門員が主体となって関与できる具体的ポイントを明らかにした。
結論
○訪問リハの具体的内容として、居宅という「実生活の場での利点を生かしての活動向上訓練」に加え、廃用症候群発生契機の類型化判定に基づく指導、ICFモデルに立った「参加」・「環境因子」への働きかけが重要である。
○介護保険改定後の「地域支援事業」や「新予防給付」における「水際作戦」として、「生活機能相談窓口」の要としての訪問リハの活用が望まれる。

公開日・更新日

公開日
2005-07-19
更新日
-

文献情報

文献番号
200400330B
報告書区分
総合
研究課題名
在宅高齢者に対する訪問リハビリテーションのプログラムとシステムに関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
大川 弥生(国立長寿医療センター研究所 生活機能賦活研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 野中 博(日本医師会)
  • 生田 宗博(金沢大学医学部 保健学科)
  • 中村 茂美(日本作業療法士協会)
  • 木村 隆次(全国介護支援専門員連絡協議会)
  • 西島 英利(日本医師会)
  • 上田 敏(日本障害者リハビリテーション協会)
  • 青井 禮子(日本医師会)
  • 奈良 勲(日本理学療法士協会)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 在宅高齢者の「生活機能」(WHO・ICF)の維持・改善のための訪問リハビリテーション(以下、リハと略す)のあり方を明らかにする。
研究方法
1.保健・医療・介護システム全体の中での訪問リハの位置づけを明らかにするための、ICFモデルに基づく生活機能低下の実態把握:1)非要介護認定在宅高齢者悉皆調査:M市4329名(回収率:95.5%)、O市5961名(96.3%)<手渡し留め置き>、2)在宅生活要介護認定者悉皆調査:M市545名(100%)、O市463名(98.9%)<直接面接法>、3)介護予防事業利用者111名(実施率90.1%)<直接面接法>、4)入院リハ実施後5年以上経過観察者254名、等。
2.介護保険サービス全体の質的向上の中での訪問リハの役割:C介護保険広域連合での介護保険サービス内容と要介護度変化の関係調査(N=6693名)
3.訪問リハの具体的内容と効果の研究
4.「水際作戦」のパイロットスタディ(「生活機能相談窓口」)
5.訪問リハについての意識調査
6.その他
結果と考察
1)生活機能低下の経過として、①脳卒中タイプ(急激に生活機能が低下)、②廃用症候群タイプ(徐々に低下)の2型に類型化できた。
2)要介護認定を受けず、介護予防事業等も利用していない高齢者でも、「活動」の低下が1~3割認められ、その中で1年以内の低下が0.5割~1割いた。特に後期高齢者では著しかった。
3)訪問リハの具体的内容として「活動」を明確なターゲットとした活動自立訓練の必要性が明らかとなった。
結論
1)訪問リハを「医療機関・通所施設に行けない場合に行う」「機能訓練」から、「実生活の場での利点を生かした」「活動向上訓練」へと位置づけることが、訪問リハの真の効果を生む。その際廃用症候群発生契機の類型化とそれに基づく指導、ICFモデルとして参加・環境因子への働きかけを重要視する必要がある。
2)介護保険改定後の「地域支援事業」や「新予防給付」で、「水際作戦」として「生活機能相談窓口」としての訪問リハの活用が望まれる(保健師が主体となって関与できる具体的ポイントを標準化した)。
3)「断続的リハ期」における、専門的リハ・サービスの関与として訪問リハの役割は大きい。
4)訪問リハを含むリハ全般についての正しい啓発を行うことが、訪問リハのみでなく、高齢者の生活機能向上において重要であり、緊急の課題である。

公開日・更新日

公開日
2005-07-19
更新日
-