心筋梗塞、脳梗塞の予知因子の同定と予知法の開発

文献情報

文献番号
200400318A
報告書区分
総括
研究課題名
心筋梗塞、脳梗塞の予知因子の同定と予知法の開発
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
北 徹(京都大学大学院医学研究科臨床系内科学講座循環器内科学)
研究分担者(所属機関)
  • 横出 正之(京都大学医学部附属病院探索医療センター臨床部)
  • 木村 剛(京都大学大学院医学研究科循環病態学)
  • 久米 典昭(京都大学大学院医学研究科循環病態学)
  • 荒井 秀典(京都大学大学院医学研究科老年内科)
  • 堀内 久徳(京都大学大学院医学研究科老年内科)
  • 田中 誠(京都大学医学部附属病院地域ネットワーク医療部)
  • 福山 秀直(京都大学大学院医学研究科脳病生理態学)
  • 鄭 忠和(長崎大学医学部附属原爆後障害医療研究施設分子情報制御研究分野)
  • 近藤 宇史(鹿児島大学医学部第一内科)
  • 井原 義人(長崎大学医学部附属原爆後障害医療研究施設分子情報制御研究分野)
  • 坂田 隆造(鹿児島大学医学部第二外科)
  • 土井 修(静岡県立総合病院循環器科)
  • 野坂 秀行(小倉記念病院)
  • 光藤 和明(倉敷中央病院内科)
  • 田中 昌(大阪赤十字病院)
  • 吉岡 秀幸(京都逓信病院内科)
  • 服部 隆一(近畿大学医学部奈良病院循環器内科)
  • 佐賀 俊彦(近畿大学医学部心臓外科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
25,050,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は心筋梗塞と脳梗塞の臨床応用可能な予知法の開発である。
研究方法
北は久米等とともに、酸化LDL受容体であるLOX-1、SR-PSOXを発見し、両者とも動脈硬化巣に発現し、可溶型があることを見出した。ELISA法を用いて、LOX-1の血中濃度測定系を確立できたので、急性冠症候群を中心に多くの症例において測定した。また、LOX-1、SR-PSOXの細胞生物学的な機能解析を行った。さらに、近藤らは、酸化ストレスのマーカーとして、thiol化蛋白質の定量測定系を確立し、多くの血管疾患をもつ症例で測定した。血小板活性化指標がない理由のひとつは、血小板活性化機構に不明な点が多いためである。堀内等とともに独自の、形質膜を透過型にした血小板を用いた血小板顆粒放出および凝集解析系を確立し、血小板活性化の分子機構の解明に取り組んだ。また、血小板および全血凝集能測定システムを確立した。
結果と考察
動脈硬化発症には酸化LDLが重要な働きをしているが、我々は2つの酸化LDL受容体、LOX-1およびSR-PSOXを見出している。LOX-1に可溶型の存在を見いだし、測定法を確立し得た。多くの症例で解析し、急性心筋梗塞等を含む急性冠症候群の患者では高値となることを見出した。トロポニンTなどの心筋障害マーカーは発症後2−3時間で上昇してくるが、LOX-1は発症時にはすでに最高値に達しているという結果であった。LOX-1は現在のところ、最良の急性冠症候群の予知因子である可能性が高い(Circulation in press, 2005)。
血小板活性化における顆粒放出にRab27およびMunc13-4が重要な働きをしていること、凝集にアダプター蛋白ShcAが重要な働きをしていることを見いだした。我々は安定かつ信頼性の高い血小板凝集指標の測定法を確立し、抗血小板療法を受けているハイリスク患者1,000例規模の血小板機能やLOX-1値を測定し、前向きに3年間追跡するというAPTEST Trialを開始した。
結論
本年度は、可溶型LOX-1が心筋梗塞予知因子であることを証明できた。さらに、多くの疾患、症例で検討を進め、可溶型LOX-1値の診断学的意義を確立する。また、血小板活性化指標が予知因子と成るか検証していく。

公開日・更新日

公開日
2005-06-14
更新日
-

文献情報

文献番号
200400318B
報告書区分
総合
研究課題名
心筋梗塞、脳梗塞の予知因子の同定と予知法の開発
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
北 徹(京都大学大学院医学研究科臨床系内科学講座循環器内科学)
研究分担者(所属機関)
  • 横出 正之(京都大学医学部附属病院探索医療センター臨床部)
  • 木村 剛(京都大学大学院医学研究科臨床系内科学講座循環器内科学)
  • 久米 典昭(京都大学大学院医学研究科臨床系内科学講座循環器内科学)
  • 荒井 秀典(京都大学医学部附属病院老年内科)
  • 堀内 久徳(京都大学大学院医学研究科臨床系内科学講座循環器内科学)
  • 田中 誠(京都大学医学部附属病院地域ネットワーク医療部)
  • 福山 秀直(京都大学大学院医学研究科脳病態生理学)
  • 鄭 忠和(鹿児島大学医学部第一内科)
  • 近藤 宇史(長崎大学医学部附属原爆後障害医療研究施設分子情報制御研究分野)
  • 井原 義人(長崎大学医学部附属原爆後障害医療研究施設分子情報制御研究分野)
  • 坂田 隆造(鹿児島大学医学部第二外科)
  • 土井 修(静岡県立総合病院循環器科)
  • 野坂 秀行(小倉記念病院)
  • 光藤 和明(倉敷中央病院内科)
  • 田中 昌(大阪赤十字病院)
  • 吉岡 秀幸(京都逓信病院内科)
  • 服部 隆一(近畿大学医学部奈良病院循環器内科)
  • 佐賀 俊彦(近畿大学医学部心臓外科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は心筋梗塞と脳梗塞の臨床応用可能な予知法の開発である。
研究方法
北は久米等とともに、酸化LDL受容体であるLOX-1、SR-PSOXを発見し、両者とも動脈硬化巣に発現し、可溶型があることを見出した。ELISA法を用いて、LOX-1の血中濃度測定系を確立できたので、急性冠症候群を中心に多くの症例において測定した。また、LOX-1、SR-PSOXの細胞生物学的な機能解析を行った。さらに、近藤らは、酸化ストレスのマーカーとして、thiol化蛋白質の定量測定系を確立し、多くの血管疾患をもつ症例で測定した。血小板活性化指標がない理由のひとつは、血小板活性化機構に不明な点が多いためである。堀内等とともに独自の、形質膜を透過型にした血小板を用いた血小板顆粒放出および凝集解析系を確立し、血小板活性化の分子機構の解明に取り組んだ。また、血小板および全血凝集能測定システムを確立した。

結果と考察
動脈硬化発症には酸化LDLが重要な働きをしているが、我々は2つの酸化LDL受容体、LOX-1およびSR-PSOXを見出している。LOX-1に可溶型の存在を見いだし、測定法を確立し得た。多くの症例で解析し、急性心筋梗塞等を含む急性冠症候群の患者では高値となることを見出した。トロポニンTなどの心筋障害マーカーは発症後2−3時間で上昇してくるが、LOX-1は発症時にはすでに最高値に達しているという結果であった。LOX-1は現在のところ、最良の急性冠症候群の予知因子である可能性が高い (Circulation in press, 2005)。また可溶型LOX-1値は閉塞性動脈硬化症の重症度に従って上昇していることを見いだした。SR-PSOXが感染性心内膜炎等で心臓の弁内皮細胞に強く発現していることを見いだした(Yamauchi et al., ATVB, 2003)。可溶型SR-PSOXは感染性心内膜炎等の診断マーカーになる可能性がある
我々は安定かつ信頼性の高い血小板凝集指標の測定法を確立し、抗血小板療法を受けているハイリスク患者1,000例規模の血小板機能やLOX-1値を測定し、前向きに3年間追跡するというAPTEST Trialを開始した。
結論
本年度は、可溶型LOX-1が心筋梗塞予知因子であることを証明できた。さらに、多くの疾患、症例で検討を進め、可溶型LOX-1値の診断学的意義を確立する。また、血小板活性化指標が予知因子と成るか検証していく。

公開日・更新日

公開日
2005-06-14
更新日
-