文献情報
文献番号
200400315A
報告書区分
総括
研究課題名
脳アミロイド画像法によるアルツハイマー病の早期診断と予防医学
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
荒井 啓行(東北大学大学院 医学系研究科 先進漢方治療医学講座)
研究分担者(所属機関)
- 工藤 幸司(東北大学先進医工学研究機構 薬理学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
5,308,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
近年、種々の神経疾患に特徴的な脳内沈着物質の存在が明らかにされ、その蓄積過程を明らかにすることが発症原因の解明に最も重要であると考えられるようになった。これらの蓄積物質は患者の死後、免疫組織化学の手法により同定され、最終的な病理診断の確定に決定的な役割を果たしてきたが、脳の生検が医学的或いは倫理的に困難である現状では、これらの蓄積性物質を生前に捕捉し診断や治療法の選択に活用することは全く考えられて来なかった。しかし、PET技術を用い脳内沈着物を構成する異常蛋白分子を直接捕捉・可視化することは、神経難病の客観的診断や根本的治療法の確立に大いに貢献するものと考えられる。本研究は、アルツハイマー病は老人斑アミロイドや神経原線維変化タウの蓄積負荷量が一定限界を超えてから発症すると考えられるため、老人斑アミロイドや神経原線維変化タウの画像化を可能にし、これを発症前に高い感度および特異度をもって診断するための技術の構築と臨床応用を行なうことを目的とする。
研究方法
昨年までの研究で最適化した化合物を母化合物として11C放射標識化を行なう。動物試験において11C標識化合物が母化合物と同じ挙動を示すことを確認の上で、探索的臨床研究に進むための安全性試験(急性毒性試験、亜急性毒性試験、変異原性試験、染色体異常試験等)を行なう。
結果と考察
BF-227を最適化化合物として最終決定した。BF-227は、細菌を用いた突然変異試験、マウスを用いた静脈内単回投与毒性試験、ラットを用いた静脈内単回投与毒性試験、マウスを用いた2週間反復投与毒性試験、ラットを用いた2週間反復投与毒性試験、安全性薬理試験としての一般症状観察、自発運動量観察においてその高い安全性が確認された。また、ラットを用いた観察において、血圧、脈拍、心電図上の不整脈など循環動態への影響はなかった。嘔吐は誘発されなかった。
結論
BF-227を新規アミロイドイメージング製剤として臨床使用することにその性能と安全性の両面から問題がないことを確認した。現在、サイクロトロンRIセンターにおける合成系の安全な稼働を確認の上、臨床試験等につき、東北大学医学部薬剤安全委員会や倫理審査委員会へ申請を行なっている。
公開日・更新日
公開日
2005-05-10
更新日
-