αトコフェロール転送蛋白遺伝子変異による酸化ストレス病態の解明

文献情報

文献番号
200400312A
報告書区分
総括
研究課題名
αトコフェロール転送蛋白遺伝子変異による酸化ストレス病態の解明
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
水澤 英洋(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科脳神経病態学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 横田 隆徳(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科脳神経病態学分野)
  • 新井 洋由(東京大学 大学院薬学系研究科衛生科学教室)
  • 内原 俊記(東京都神経科学総合研究所 神経病理学研究部門)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
28,218,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、ビタミンE (VE)欠乏を介して著明な酸化ストレスをきたすαTTPノックアウトマウス(αTTP-/-)を用いて、アルツハイマー病などの神経変性疾患における酸化ストレスの関与を解明し、多数のαTTP-/-をVEの厳密な管理下で長期飼育し、細胞?個体レベルでの変化を検索し、老化、発癌、寿命などへの酸化ストレスの関与について検討する。また、基礎研究として肝細胞におけるαTTPを介するビタミンE輸送機構を解明する。
研究方法
αTTP-/-と変異APPトランスジェニックマウスを自然交配させたダブルミュータントマウスの学習記憶能力をモリス型水迷路試験にて解析した。脳内Aβの定量、 注入[125I]Aβの消失速度や分解酵素のネプリライシン活性を測定した。野生型対照マウスとαTTP遺伝子改変マウスをVE欠乏食群とVE添加食群に分けて長期飼育し観察した。肝細胞でのαTTPを介するVEの輸送機構を、αTTP・変異αTTP・フォスファチジールイノシトールリン酸 (PIP)のVE結合能の測定などを行った。研究は全て倫理面と動物愛護に充分配慮し行われた。
結果と考察
このダブルミュータントマウスは学習記憶能力が低下し、脳内のAβと老人班が増加していたが、ネプリライシン活性は低下せず、 [125I]Aβの消失率が27.6%低下を示した。αTTPノックアウトマウスの長期飼育と観察から遺伝子改変群では早期から後肢の脱力などの有症状例と死亡例がみられ、VE添加食群では症状の発現は遅れるがその後急速に有症状個体が増加した。Kaplan-Meier生存率ではVE添加食群で神経症状を呈さないまま死に至る例がみられた。VEの輸送にはαTTPの他PIPsも関与していた。
結論
αTTP-/-との掛け合わせで慢性酸化ストレスをかけることにより、アルツハイマー病モデルマウスの学習記憶能力が低下することを初めて明らかにし、その機序はAβの排泄低下と考えられることを世界で初めて明らかにした。αTTP遺伝子数とVE量を様々に組み合わせた多数のマウスの行動観察から、現時点では酸化ストレスは神経症候の発現に直接的に関係しているが、死因としては別の要因も考慮すべきと思われた。肝細胞でのαTTPによるVEの輸送・放出の詳細が明らかになった。

公開日・更新日

公開日
2005-04-11
更新日
-

文献情報

文献番号
200400312B
報告書区分
総合
研究課題名
αトコフェロール転送蛋白遺伝子変異による酸化ストレス病態の解明
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
水澤 英洋(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科脳神経病態学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 横田 隆徳(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科脳神経病態学分野)
  • 新井 洋由(東京大学 大学院薬学系研究科衛生科学教室)
  • 内原 俊記(東京都神経科学総合研究所 神経病理学研究部門)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、ビタミンE (VE)欠乏を介して著明な酸化ストレスをきたすαTTPノックアウトマウス(αTTP-/-)を用いて、アルツハイマー病などの神経変性疾患における酸化ストレスの関与を解明し、多数のαTTP-/-をVEの厳密な管理下で長期飼育し、細胞?個体レベルでの変化を検索し、老化、発癌、寿命などへの酸化ストレスの関与について検討する。また、基礎研究として肝細胞におけるαTTPを介するビタミンE輸送機構を解明する。
研究方法
αTTP-/-と変異APPトランスジェニックマウスを自然交配させたダブルミュータントマウスの学習記憶能力をモリス型水迷路試験にて解析した。脳内Aβの定量、 注入[125I]Aβの消失速度や分解酵素のネプリライシン活性を測定した。野生型対照マウスとαTTP遺伝子改変マウスをVE欠乏食群とVE添加食群に分けて長期飼育し観察した。肝細胞でのαTTPを介するVEの輸送機構を、αTTP・変異αTTP・フォスファチジールイノシトールリン酸 (PIP)のVE結合能の測定などを行った。研究は全て倫理面と動物愛護に充分配慮し行われた。
結果と考察
このダブルミュータントマウスは学習記憶能力が低下し、脳内のAβと老人班が増加していたが、ネプリライシン活性は低下せず、 [125I]Aβの消失率が27.6%低下を示した。αTTPノックアウトマウスの長期飼育と観察から遺伝子改変群では早期から後肢の脱力などの有症状例と死亡例がみられ、VE添加食群では症状の発現は遅れるがその後急速に有症状個体が増加した。Kaplan-Meier生存率ではVE添加食群で神経症状を呈さないまま死に至る例がみられた。VEの輸送にはαTTPの他PIPsも関与していた。
結論
αTTP-/-との掛け合わせで慢性酸化ストレスをかけることにより、アルツハイマー病モデルマウスの学習記憶能力が低下することを初めて明らかにし、その機序はAβの排泄低下と考えられることを世界で初めて明らかにした。αTTP遺伝子数とVE量を様々に組み合わせた多数のマウスの行動観察から、現時点では酸化ストレスは神経症候の発現に直接的に関係しているが、死因としては別の要因も考慮すべきと思われた。肝細胞でのαTTPによるVEの輸送・放出の詳細が明らかになった。

公開日・更新日

公開日
2005-04-11
更新日
-