家庭血圧を用いた高齢者高血圧の早期血圧とその変動制の評価と管理法の確立

文献情報

文献番号
200400302A
報告書区分
総括
研究課題名
家庭血圧を用いた高齢者高血圧の早期血圧とその変動制の評価と管理法の確立
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
苅尾 七臣(自治医科大学 循環器内科学)
研究分担者(所属機関)
  • 島田 和幸(自治医科大学 循環器内科学)
  • 三橋 武司(自治医科大学 循環器内科学)
  • 石川 鎮清(自治医科大学 地域医療学)
  • 江口 和男(自治医科大学 循環器内科学)
  • 星出 聡(自治医科大学 循環器内科学)
  • 星出 陽子(自治医科大学 循環器内科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
2,028,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
近年、外来血圧よりも自由行動下血圧、特に早朝血圧の管理の重要性が指摘されている。 本研究では、起立時血圧変動性を測定する新規家庭血圧計とそのデータ解析ソフトの開発を行い、高齢者高血圧患者を対象に座位と立位にて家庭血圧モニタリングを行い、高血圧性臓器障害との関連を検討した。
研究方法
対象者は早朝収縮期血圧レベルが135mmHg以上の外来通院中の高血圧血圧患者610名、測定評価項目は1)家庭血圧測定:自動血圧測定計を用いて、早朝薬剤服用前と就寝前に、それぞれ2分間の安静後に座位2回と立位2回を連続4回(各測定間隔は1分)、3日間測定した。 2) 脳ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、 尿中微量アルブミン、脈波伝導速度(PWV)などの臓器障害を評価した。
結果と考察
降圧療法中の高血圧患者610名において3日間の早朝血圧の上位4分位(Q4: 早朝平均血圧>162mmHg)を示す161名とそれ以外のQ1-3(449名)を比較したところ、性別、BMI,に差がなかったが、蛋白尿、BNP (49.2 vs.38.0 pg/ml, p=0.039)、PWV(1959cm/sec vs. 1791cm/sec, p=0.001)が早朝血圧高値群で高かった。従って、早朝血圧レベルは外来血圧や就寝時血圧よりも高血圧性臓器障害をより特異的に示す指標であることが示された。
また、早朝の家庭収縮期血圧と就寝前の家庭収縮期血圧との差 (ME差)もPWVと有意な正の相関(r=0.21, p=0.01)を認めた。 さらに、早朝(M)と就寝時(E)血圧の平均(ME平均)およびその差(ME差)により定義した早朝高血圧では「持続性高血圧」に比較してBNPレベルが有意に高かった。起立性血圧変動を評価する家庭血圧モニタリング装置を開発し、再現性よく、家庭での起立性高血圧と起立性低血圧の診断を可能とした。 起立性高血圧を呈する高血圧患者は高血圧性心負荷が増大していることが示され、家庭血圧で定義した「起立性高血圧」では起立時に血圧変動がない群に比較してBNPレベルが有意に高かった(p<0.02)。
結論
治療中高血圧患者において、早朝収縮期血圧は高血圧性心疾患と大血管障害の両方の規定因子であった。 家庭血圧において測定した朝夕の血圧平均(ME平均)とその差(ME差)はそれぞれ、高血圧性心血管負荷と関連していた。 また、ME平均とME差で定義した「早朝高血圧」の高血圧性心負荷リスクは増加していることが明らかになった。 高血圧診療時に家庭血圧モニタリングを用い、ME平均血圧値に加えてME差を評価し、これを低下させることが有用であろう。

公開日・更新日

公開日
2005-07-19
更新日
-