文献情報
文献番号
200400296A
報告書区分
総括
研究課題名
音声聴取改善を目的とした新しい両耳補聴方式の開発
研究課題名(英字)
-
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
川瀬 哲明(東北大学大学院 医学系研究科 耳鼻咽喉科学分野)
研究分担者(所属機関)
- 鈴木陽一(東北大学 電気通信研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
8,552,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
補聴の際に大きな問題となる、低周波数音による高周波数音知覚に対するマスキング効果(上向性マスキング)の解決策として、両耳分離補聴の開発と実用化を行なう。本年度は、本補聴方式が有効な条件や効果発現の要因解明、音像定位劣化改善の方策、視覚情報の相補作用について検討した。
研究方法
1)先行母音のホルマント周波数、両耳分離補聴分割周波数が明瞭度に与える影響、2)両耳間時間差の音像定位、明瞭度に与える影響、3) 両耳分離補聴効果に与える、難聴者の聴覚特性(順向性マスキング量および聴覚フィルタの帯域幅)の影響、4)読唇効果と本補聴方法との相互作用、について検討した。
結果と考察
1)母音の第1、第2ホルマントが比較的近接している場合、両ホルマント間の周波数を分割周波数とした場合に、分離補聴の効果が大きいことが示された。
2)両耳間時間差を適切に設定することで,正面方向の音像の知覚が改善することが示され、音像定位に悪影響を及ぼさない両耳分離補聴方式実現の可能性が示唆された。
3)両耳分離補聴の効果と順向性マスキング量との相関を調べた結果、マスカーによる後刺激効果が短い難聴者ほど、大きな両耳分離補聴効果が得られることが示唆された。
4)視覚情報の効果(読唇効果)は、分離補聴の効果と相加的に働くこと、視覚情報の利用により、音像定位感の改善や分離補聴による違和感の軽減傾向があることが示唆された。
2)両耳間時間差を適切に設定することで,正面方向の音像の知覚が改善することが示され、音像定位に悪影響を及ぼさない両耳分離補聴方式実現の可能性が示唆された。
3)両耳分離補聴の効果と順向性マスキング量との相関を調べた結果、マスカーによる後刺激効果が短い難聴者ほど、大きな両耳分離補聴効果が得られることが示唆された。
4)視覚情報の効果(読唇効果)は、分離補聴の効果と相加的に働くこと、視覚情報の利用により、音像定位感の改善や分離補聴による違和感の軽減傾向があることが示唆された。
結論
1)両耳分離補聴の効果は、先行母音のホルマント周波数に影響を受けるが、一般に、第1ホルマントと第2ホルマント間に分割周波数を設定した場合に、両耳分離補聴の補聴効果が大きくなる。
2)両耳間時間差を適切に設定することで、音像定位に悪影響を及ぼさない両耳分離補聴が実現可能。
3)マスカーによる後刺激効果時間が短い難聴者で大きな両耳分離補聴効果が得られる。これは、後迷路性難聴の要素が大きいと効果が期待できない可能性を示唆するが、この点については、引き続き症例を重ねて検討する。
4)視覚情報を聴覚刺激と同時に提示することで、言葉の聞き取りのみならず、音像定位や分離補聴による違和感の軽減などの効果が期待できる。
5)今後の効果的な本補聴様式の実用化には、今回の研究で得られた上記特性を周囲環境に応じて可変的に実行する補聴器ハードウエアの開発も視野に継続研究を行なう必要がある。
2)両耳間時間差を適切に設定することで、音像定位に悪影響を及ぼさない両耳分離補聴が実現可能。
3)マスカーによる後刺激効果時間が短い難聴者で大きな両耳分離補聴効果が得られる。これは、後迷路性難聴の要素が大きいと効果が期待できない可能性を示唆するが、この点については、引き続き症例を重ねて検討する。
4)視覚情報を聴覚刺激と同時に提示することで、言葉の聞き取りのみならず、音像定位や分離補聴による違和感の軽減などの効果が期待できる。
5)今後の効果的な本補聴様式の実用化には、今回の研究で得られた上記特性を周囲環境に応じて可変的に実行する補聴器ハードウエアの開発も視野に継続研究を行なう必要がある。
公開日・更新日
公開日
2005-04-11
更新日
-