気管内痰の自動吸引器の実用化研究

文献情報

文献番号
200400295A
報告書区分
総括
研究課題名
気管内痰の自動吸引器の実用化研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
法化図 陽一(大分県立病院 神経内科)
研究分担者(所属機関)
  • 末永 啓爾(末松神経内科 内科クリニック)
  • 瀧上 茂(高田中央病院)
  • 山本 真(大分協和病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
30,299,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ALS(筋萎縮性側索硬化症)などにより在宅人工呼吸管理を行う上で、気管内の痰の吸引は、終日頻回に行わねばならないなど介護者への負担が大きい。この痰の吸引を自動化するシステムの開発を目的とした研究を行った。
研究方法
気管カニューレにカフ下部吸引ラインを増設し、ローラーポンプにより持続吸引を行う方法による自動吸引装置を開発した。有効なカフ下部吸引孔の位置と、吸引量について、臨床試験を行い、コントロール期間と自動吸引期間における用手吸引回数の比較を行うことにより検討した。自動吸引期間で5%以下の危険率で有意に減少したものを有効、うち0.1%以下の危険率であったものを著効とした。有意差のなかったものは無効と判定した。
結果と考察
平成15年度研究で開発したカフ下部吸引用気管カニューレを検討するなかで、静的環境モデルでの吸引実験において最良の結果を得た下方吸引方式と、人工換気を加えた動的環境モデルでの吸引実験において良好な結果を得た下方内方両吸引方式の二種類のカフ下部吸引用カニューレを試作した。これらの試作カニューレに約200ml/分の吸引量をもつ高容量ローラーポンプを接続し持続吸引を行った。その結果、カフ下部下方吸引方式による臨床試験では、6例中著効0有効3無効3であり、下方内方両吸引方式では、7例中著効5有効2無効0と、下方内方両吸引方式が優れていた。下方吸引方式では、気管後壁吸引の副障害が2例発生したが、下方内方両吸引方式では副障害の発生はなかった。下方内方両吸引方式では、7例中6例までが24時間の用手吸引1回以下を達成し、うち著効の1例では、80時間連続無吸引を記録した。200ml/分の吸引量は、患者の人工換気に影響を与えなかった。
結論
高容量ローラーポンプによるカフ下部下方内方両吸引方式での自動吸引装置は、一日用手吸引ゼロも達成しうる高い性能が得られ、介護負担を大幅に軽減しうると考えられた。また安全性も高く、患者へ苦痛や負担を与えないなど、在宅患者への長期使用も可能であると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2005-04-11
更新日
-

文献情報

文献番号
200400295B
報告書区分
総合
研究課題名
気管内痰の自動吸引器の実用化研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
法化図 陽一(大分県立病院 神経内科)
研究分担者(所属機関)
  • 末松 啓爾(末松神経内科 内科クリニック)
  • 瀧上 茂(高田中央病院)
  • 山本 真(大分協和病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ALS(筋萎縮性側索硬化症)などにより在宅人工呼吸管理を行う上で、気管内の痰の吸引は、終日頻回に行わねばならないなど介護者への負担が大きい。この痰の吸引を自動化するシステムの開発を目的とした研究を行った。
研究方法
気管カニューレにカフ下部吸引ラインを増設し、ローラーポンプにより持続吸引を行う方法による自動吸引装置を、平成15年度に開発した。平成16年度では、有効なカフ下部吸引孔の位置と、ローラーポンプの吸引量について検討した。また、臨床試験を行い、コントロール期間と自動吸引期間における用手吸引回数の比較を行うことにより有効性の検討を行った。
結果と考察
平成15年度研究でカフ下部吸引用気管カニューレをローラーポンプによる低量常時吸引(15-50ml/分)を行う方法を考案した。本方式による臨床試験は、検定が行われた6例中著効1有効2無効3であった。平成16年度研究では、静的環境モデルでの吸引実験において最良の結果を得た下方吸引方式と、人工換気を加えた動的環境モデルでの吸引実験において良好な結果を得た下方内方両吸引方式の二種類のカフ下部吸引用カニューレを試作した。これらの試作カニューレに約200ml/分の吸引量をもつ高容量ローラーポンプを接続し持続吸引を行った。その結果、カフ下部下方吸引方式による臨床試験では、6例中著効0有効3無効3であり、下方内方両吸引方式では、7例中著効5有効2無効0と、下方内方両吸引方式が優れていた。下方吸引方式では、気管後壁吸引の副障害が2例発生したが、下方内方両吸引方式では副障害の発生はなかった。下方内方両吸引方式では、7例中6例までが24時間の用手吸引1回以下を達成し、うち著効の1例では、80時間連続無吸引を記録した。
結論
高容量ローラーポンプによるカフ下部下方内方両吸引方式での自動吸引装置は、一日用手吸引ゼロも達成しうる高い性能が得られ、介護負担を大幅に軽減しうると考えられた。また安全性も高く、患者へ苦痛や負担を与えないなど、在宅患者への長期使用も可能であると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2005-04-11
更新日
-