高齢者の終末期ケアを支える地域ケアシステムの構築に関する研究

文献情報

文献番号
200400289A
報告書区分
総括
研究課題名
高齢者の終末期ケアを支える地域ケアシステムの構築に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
川越 博美(聖路加看護大学 看護学部看護実践開発研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 村嶋 幸代(東京大学大学院 医学系研究科地域看護学)
  • 高針 龍太郎(東京都老人総合研究所 看護・ヘルスケア部門)
  • 山本 則子(千葉大学 看護学部)
  • 永田 智子(東京大学大学院 医学系研究科地域看護学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
5,308,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
地域における高齢者のターミナルケアの現状を、グループホームと訪問看護ステーションのターミナルケアの現状に焦点をあてて調査し,高齢者のターミナルケアシステム構築に向けた提言を行うことを目的とした。
研究方法
1.文献検討 2.痴呆高齢者グループホーム(以下GH)の管理者7名のインタビュー調査 3.小規模ケアホームおよび在宅での看取りを支援した訪問看護ステーション(以下ST)訪問看護師へのインタビュー調査による事例研究
結果と考察
結果:文献検討では米・英国のターミナルケアは一般的なホームケアチームと看取りを専門とした緩和ケアチームで提供されていた。GH管理者へのインタビューではターミナルケアとして①なじみ深い生活を最期まで提供する②心身機能低下を最小限にとどめるケアを最期まで継続する③状況の先手を打ち,望まれる終末期医療を万全に活用する④最期までケアの計画・実施のため家族と協働する,が抽出された。小規模ケアホームと在宅での看取りを支援した訪問看護師へのインタビューでは、ターミナルケアの内容に①身体状況にあわせた日常生活支援②症状コントロールのための医療的ケア③本人の意思を尊重したケア④家族の意思を尊重した家族支援,が示された。ターミナルケアの条件は場所により特有の条件もあるが,共通点としては24時間体制のチームケア,本人の意思の尊重,家族のモ思の尊重,であった。またケア過程において高齢者ターミナルケアの捉え方やケア方法に明確な基準がないため、訪問看護師は迷いながらも今までとは違う諸変化(ADL低下・嚥下困難・経口摂取量の減少)を繋ぎ合わせてターミナルと捉えていた。考察:①高齢者のターミナルケアは,高齢者のなじみ深い生活が最期まで継続できることを基盤にしながら,心身の状況に合わせた生活支援と症状を緩和できる医療的ケア,家族への支援と家族との協働が重要である。②ターミナルケアの条件は高齢者と家族の意思を尊重しながら,24時間体制でチームでケアにあたることである。③本研究ではケア過程において,これまでと違う諸変化と高齢者と家族の意思を繋ぎ合わせてターミナルケアと捉えていた。
結論
高齢者のターミナルケアシステムは,高齢者の尊厳を守るためにも,高齢者が終の棲家として選んだ多様な生活の場所で最期を迎えることができることを保障するシステムが必要である。そのためには在宅ケアチームと在宅緩和ケアチームが協働してサービスを提供するターミナルケアシステムが有効なシステムであると考えられる。  

公開日・更新日

公開日
2005-07-19
更新日
-

文献情報

文献番号
200400289B
報告書区分
総合
研究課題名
高齢者の終末期ケアを支える地域ケアシステムの構築に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
川越 博美(聖路加看護大学 看護学部看護実践開発研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 村嶋 幸代(東京大学大学院  医学系研究科地域看護学分野)
  • 高橋 龍太郎(東京都老人総合研究所 看護・ヘルスケア部門)
  • 山本 則子(千葉大学 看護学部)
  • 永田 智子(京大学大学院  医学系研究科地域看護学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
地域におけるターミナルケアの現状を,グループホームと訪問看護ステーションでのターミナルケアに焦点をあてて調査し、高齢者のターミナルケアシステム構築に向けた提言を行うことを目的とした。
研究方法
1.国内外の高齢者ターミナルケアに関する文献検討 2.全国3,013箇所の訪問看護ステーション(以下訪問看護ST)におけるターミナルケアの実態調査 3.痴呆性高齢者グループホーム(以下GH)の管理者7名へのインタビュー調査 4.小規模ケアホームと在宅で看取りを支援した訪問看護ST訪問看護師へのインタビュー調査による事例研究 
結果と考察
結果:1.全国の訪問看護STでのターミナルケアの実態調査で,1月間に在宅死を経験した訪問看護STは全体の3割だった。設立年度,地域区分,開設主体,同一法人内の入院施設の有無,緊急時訪問看護加算等の届出は,在宅での看取りの実施可能性や実施の有無と関連していた。2.GH管理者のインタビューでは,実施したターミナルケアとして①なじみ深い生活を最期まで続ける②心身機能低下を最小限にとどめるケアを最期まで継続する③状況の先手を打ち,望まれる終末期医療を万全に活用する④最期までケアの計画・実施のため家族と協働する,が抽出された3.小規模ケアホームと在宅で看取りを支援した訪問看護師のインタビューでは、ターミナルケアの内容に①身体症状に合わせた生活支援②症状コントロールのための医療的ケア③本人の意思を尊重したケア④家族の意思を尊重した家族支援,があった。ターミナルケアは場所の違いによる条件もあるが24時間体制のチームケア,本人の意思の尊重,家族の意思の尊重が共通していた。ケア過程では高齢者のターミナルの捉え方に基準がないため,訪問看護師は迷いながらもこれまでとは違う諸変化を繋ぎ合わせてターミナルと捉えていた。考察:高齢者ターミナルケアは高齢者がなじみ深い生活の場所で生活し最期を迎えることが重要であるため,多様な場所で最期が迎えられることを支援するケアシステムの構築が急務である。また既存の在宅ケアチームと今後増加するであろうターミナルケアを専門とする在宅緩和ケアチームが協働しながら地域でターミナルケアを提供するシステムが,本研究で明らかになったターミナルケア内容と条件を満たす地域ケアシステムであると考えられた。
結論
高齢者の多様な生活の場所に,在宅ケアチームと在宅緩和ケアチームが協働してターミナルケアを提供できるケアシステムを構築し,尊厳ある高齢者ターミナルケアの提供が望ましいと考えられた。

公開日・更新日

公開日
2005-07-19
更新日
-