ステロイドシグナル経路を分子標的とした新しい老年病の予防・治療法の開発

文献情報

文献番号
200400286A
報告書区分
総括
研究課題名
ステロイドシグナル経路を分子標的とした新しい老年病の予防・治療法の開発
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
井上 聡(東京大学医学部附属病院老年病科)
研究分担者(所属機関)
  • 秋下 雅弘(東京大学医学部附属病院老年病科)
  • 堺 隆一(国立がんセンター研究所細胞増殖因子研究部)
  • 池田 和博(埼玉医科大学ゲノム医学研究センター遺伝子情報制御部門)
  • 近藤 宇史(長崎大学医学部附属原爆後障害医療研究施設分子情報制御研究分野)
  • 武山 健一(東京大学分子細胞生物学研究所核内情報研究分野)
  • 柳澤 純(筑波大学大学院生命環境科学研究科)
  • 津久井 通(埼玉医科大学ゲノム医学研究センター実験動物施設)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
19,980,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、ステロイド補充の抗老化作用の応用を目指し、ステロイド作用の調節機構、受容体機能、関連相互作用、共役因子、シグナル伝達、下流標的因子群の性状を分子レベルで明らかにする。ステロイドとその受容体の老化と老年病における役割の解明から、老化、老年病の新しい予防、治療法の開発を目的とし、新規分子標的の探索・同定からその臨床応用を探る。
研究方法
1)老化前立腺でのアンドロゲン応答遺伝子を探索した。2)骨でのエストロゲン応答遺伝子を探索した。3)グルココルチコイドの骨の応答遺伝子を探索した。4)Alox15のステロイド応答性を検討した。5)低用量エストロゲンの内膜肥厚抑制効果をラットを用いて検討した。6)血管平滑筋のエストロゲン応答遺伝子を検索した。7)高齢者における血中アンドロゲン濃度と動脈硬化指標との関連を調べた。8)エストロゲンの膜近傍での作用を解析した。9)エストロゲン応答遺伝子COX7RPを機能解析した。10)エストロゲンの心筋細胞保護作用を検討した。11)ステロイド受容体の機能解析を行った。12)エストロゲン受容体蛋白分解機構を検討した。13)ER導入トランスジェニック動物を開発、解析した。
結果と考察
1)老化前立腺における新しいアンドロゲン応答遺伝子を同定し、新規手法の有効性を示した。2)骨のエストロゲン応答遺伝子を同定し、骨形成に関わる治療標的としての役割を示唆した。3)骨粗鬆症に至るグルココルチコイドの標的分子を明らかにした。4)Alox15のステロイド応答を示した。5)低用量エストロゲンの内膜肥厚抑制効果を実証した。6)血管平滑筋のエストロゲン標的を示した。7)高齢者血中アンドロゲン濃度は動脈硬化指標と関連した。8)エストロゲンの新しい作用経路を細胞膜近傍複合体として示した。9)COX7RPは細胞増殖と関連していた。10)エストロゲンの心筋保護作用にAktが関与していた。11)ステロイド受容体の新規共役、修飾因子を明らかにした。12)エストロゲン受容体の蛋白分解機構を明らかにした。13)エストロゲンシグナル改変マウスは老年病疾患モデル動物として期待された。
結論
骨、心血管、脳、生殖系におけるステロイド標的因子、共役因子、修飾因子を複数の手法によって明らかにし、抗老化・老年病治療と診断の新しい分子標的としての役割を示し、新規シグナル経路を示すとともに、老年病モデル動物を開発した。

公開日・更新日

公開日
2005-04-11
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
200400286B
報告書区分
総合
研究課題名
ステロイドシグナル経路を分子標的とした新しい老年病の予防・治療法の開発
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
井上 聡(東京大学医学部附属病院老年病科)
研究分担者(所属機関)
  • 秋下 雅弘(東京大学医学部附属病院老年病科)
  • 堺 隆一(国立がんセンター研究所細胞増殖因子研究部)
  • 池田 和博(埼玉医科大学ゲノム医学研究センター遺伝子情報制御部門)
  • 近藤 宇史(長崎大学医学部附属原爆後障害医療研究施設分子情報制御研究分野)
  • 武山 健一(東京大学分子細胞生物学研究所核内情報研究分野)
  • 柳澤 純(筑波大学大学院生命環境科学研究科)
  • 津久井 通(埼玉医科大学ゲノム医学研究センター実験動物施設)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、ステロイド補充の抗老化作用の応用を目指し、ステロイド作用の調節機構、受容体機能、関連相互作用、共役因子、シグナル伝達、下流標的因子群の性状を分子レベルで明らかにする。ステロイドとその受容体の老化と老年病における役割の解明から、老化、老年病の新しい予防、治療法の開発を目的とし、新規分子標的の探索・同定からその臨床応用を探った。
研究方法
ゲノム結合部位、全ゲノムデータベース検索と、DNAチップ、マイクロアレイ法、プロテオーム解析法を用いて、正常及び老化細胞、老化動物とステロイド受容体関連遺伝子改変動物より、各臓器ならびに細胞(心血管系、脳神経系、骨格系、生殖系)の老化における新規ステロイド標的因子と関連因子の同定と機能解析を進めた。同定した特異的標的因子の機能を修飾することにより、老化、老年病の予防、治療法の分子標的としての可能性を検証した。抗老化作用を有するSERMをはじめとするステロイド調節薬の受容体に対する転写活性、作用機序の差異を調べ、新規ステロイド受容体共役因子、修飾因子と受容体との相互作用を調べた。Non-genomic作用に関して、ステロイドによる膜や細胞内シグナル伝達系、レドックス制御を介する機構の新しいシグナル経路を解析した。
結果と考察
Genomic binding-siteクローニング法とゲノムデータベース検索、マイクロアレイ法、生化学的手法によりCOX7RP、Alox15、PCYT1Bをはじめとする新規ステロイド標的因子、ならびにPP5、Cdk7、CHIP等の新しいステロイド受容体修飾因子、共役因子、関連因子を探索・同定し、それら分子機能とシグナル経路を明らかにし、老年病治療法開発のための分子標的としての可能性を示した。細胞内シグナル伝達とレドックス制御の研究から、エストロゲンのnon-genomic作用を分離し、新しいステロイドシグナル経路を見出した。遺伝子改変動物の作製から老化、老年病のモデル動物を開発した。以上のように、本研究で老年病の診断と治療の標的を10個以上見出し、新たな創薬のシードとなることが期待された。
結論
骨、心血管、脳、生殖系におけるステロイド標的因子、共役因子、修飾因子を複数の手法によって明らかにし、抗老化・老年病治療と診断の新しい分子標的としての役割を示し、新規シグナル経路を発見するとともに、老年病モデル動物を開発した。

公開日・更新日

公開日
2005-04-11
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2006-02-20
更新日
-