入院医療と在宅ケアの連携のあり方に関する調査研究

文献情報

文献番号
200400274A
報告書区分
総括
研究課題名
入院医療と在宅ケアの連携のあり方に関する調査研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
池上 直己(慶應義塾大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
6,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
病院と在宅の機関の連携を図る上で、入院医療と在宅における居宅サービスをつなぐ訪問看護師、介護支援専門員に着目し、病棟看護師との連携を強化すると同時に、両者を介して病院と在宅のそれぞれの主治医の連携、他の居宅サービス事業者との連携を円滑に進めるため、入院した直後から退院・退所時に向けて適切なケアを提供するための方法を確立し、さらにそれをマニュアル化して有効性を広く検証することを目的とする。
研究方法
調査対象3施設(病院2,老健1)に調査期間中(3ヶ月間)に入院した全高齢者を対象とし、基本属性や入院前・入院中の状況、退院後の予定、入院前・退院後の訪問看護師・介護支援専門員との連携状況などを調査した。
結果と考察
全調査対象者889人のうち調査期間内に退院した対象者は575人(64.7%)で、退院後に訪問看護またはその他の介護保険サービスを利用していたのは107人(18.6%)であった。在宅への退院者457人の中で退院時に褥瘡があるかカテーテルを使用しているのが28人で、そのうち退院後にサービスを利用していない者が14人と半数を占めていることから、医療面における支援やケアを必要とすると推測されながら、訪問看護サービスの需要として顕在化していないケースもあることがうかがえる。また、病院と在宅の連携事項をみると、入退院に関することがほとんどで、患者の状態についての情報のやりとりは10%以下にとどまっていた。
結論
退院患者の中で、褥瘡がある者、あるいはカテーテルを使用者のうちで、訪問看護サービスを利用していない患者が半数程度存在すること、また入院中の状態変化を十分に連絡できていない現状が明らかになった。退院する患者の状態の変化を勘案しながら、どのようなサービスを利用するのが適切かについては、院内の情報が十分に活用されていないことが考えられる。
今後の課題として、フォーカスグループを開催して、患者の状態変化をどのように把握し、それを退院後のサービス利用や退院指導にいかに活用するか、入院から在宅に向けての連絡方法、用紙や運用の見なおしについて試行・検討が必要である。さらに、今年度使用した「患者調査票」のベースとしたMDS-AC(急性期患者の状態を把握するための体系的なアセスメント表、Minimum Data Set - Acute Care)利用の可能性を検討する必要がある。

公開日・更新日

公開日
2005-05-11
更新日
-