高齢者の排便機能障害評価法と尊厳の回復に関する研究

文献情報

文献番号
200400273A
報告書区分
総括
研究課題名
高齢者の排便機能障害評価法と尊厳の回復に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
萱場 広之(秋田大学医学部医学科 統合医学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 茆原順一(秋田大学医学部医学科 統合医学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
4,235,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、排便障害の病態に即した介護・治療排便障害を有する高齢者の生活の質の向上、社会活動の改善、介護者の負担軽減、排便障害に対処する社会的・医学的基盤形成により、高齢者の排便障害の改善、生活の質と尊厳の回復を目的とする。
研究方法
1,直腸肛門機能および排便機能評価:問診と診察の情報に加え、直腸肛門内圧、Saline enema test (SET), Fecoflowmetry(FFM)を用いて客観的評価を行う。評価項目は肛門管静止圧、随意収縮圧、生理食塩水直腸内保持量、便意発来閾値、直腸収縮誘発閾値、肛門管弛緩誘発閾値、直腸肛門協調運動、排出時間、平均流量、排出率、最大流量、排出パターン等である。高齢者の排便障害の疫学調査:要在宅看護者、老人保健施設入所者を対象にアンケート調査を行い排便介助の有無、その程度、管理方法などについて実態調査を行う。社会的基盤の整備状況については既存の情報も含めて情報収集と調査を行う。3,排便補助具の開発:1,の排便機能障害の病態生理の分類に基づいて管理方法を検討し、病態に即した管理方法が選択し、その管理方法に適した補助具を開発を行う。
結果と考察
直腸肛門機能に関しては、現在まで収集したデータからは、直腸の収縮不良と便貯留感覚鈍麻や肛門狭窄が頑固な便秘の背景にあるものがある。他に内肛門括約筋の活動性の亢進や、外肛門括約筋の随意収縮不良などがみられる。FFMは高齢者でも概ね排便状況を反映する。すなわち排便障害のない例では便意に伴い、短時間(数十秒以内)にまとめて排出され、慢性便秘症例では流量は低く、数回に分け、長時間にわたって排出される。失禁例では直腸内貯留が困難で排出は低流量である。排便補助器具開発では試作品を4種作成し、改良途上にある。排便障害の疫学調査については未着手。社会的には排便障害に配慮したトイレは未だ少数ではあるものの新しい施設を中心に普及しつつある。
結論
高齢者においても若年者同様にSET,FFMによる排便機能分析手法を応用できる。高齢者においては排便障害の背景因子は医学的・社会的な複雑な要因があり、個々の場合に適した管理方法を選択する必要がある。

公開日・更新日

公開日
2005-03-30
更新日
-