介護予防のための低栄養状態スクリーニング・システムに関する研究

文献情報

文献番号
200400270A
報告書区分
総括
研究課題名
介護予防のための低栄養状態スクリーニング・システムに関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
杉山 みち子(神奈川県立保健福祉大学 保健福祉学部 栄養学科)
研究分担者(所属機関)
  • 吉田勝美(聖マリアンナ医科大学 予防医学)
  • 西村秋生(名古屋大学医学系研究科 ヤングリーダーズプログラム)
  • 岡本連三(神奈川県立保健福祉大学 保健福祉学部 リハビリテーション学科)
  • 長沢弘(神奈川県立保健福祉大学 保健福祉学部 リハビリテーション学科理学療法学専攻)
  • 太田貞司(神奈川県立保健福祉大学 保健福祉学部 社会福祉学科)
  • 別所遊子(神奈川県立保健福祉大学 保健福祉学部 看護学科)
  • 清水順市(神奈川県立保健福祉大学 保健福祉学部 リハビリテーション学科作業療法学専攻)
  • 渡部鐐二(神奈川県立保健福祉大学 保健福祉学部 人間総合・専門基礎担当)
  • 櫻井典子(神奈川県立保健福祉大学 保健福祉学部 人間総合・専門基礎担当)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
4,835,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
介護保険制度の見直しにあたって、介護予防が重視され、低栄養状態の早期予防、改善に向けての支援システムの構築は緊急な課題である。本研究は、2年計画の1年目として、地域における居宅自立高齢者(以下自立者)及び軽度の要介護者(以下軽度者)における「栄養改善」のための地域支援システムを構築するために、①低栄養状態の出現状況、②「低栄養状態予防のためのアセスメント―自己チェック表」(以下 低栄養の自己チェック表、平成12年度厚生省老人保健事業)の活用の方途について明らかにした。
研究方法
神奈川県横須賀市の介護予防・地域支えあい事業参加自立者127名及び同県内のデイサービス利用の軽度者(要支援:66名、要介護1:190名、比較対象として要介護2:106名)における身体計測、臨床検査、生活体力測定、「低栄養の自己チェック表」及び簡易食物摂取状況調査(1977年)による調査を行った。
結果と考察
低栄養状態にある者(血清アルブミン値3.5g/dl以下あるいはBMI18.5未満)は、自立者の約5%、軽度者の10~15%に存在した。また、軽度者は、自立者に比べて、体脂肪、筋タンパク質、及び血清アルブミン値、さらに生活体力指標の低下が顕著にみられた。「低栄養の自己チェック表」の総チェック数は、軽度者は、自立者よりも有意に増大し、「買い物が不自由」、「食事の支度が不自由」、「歯・口腔・嚥下の問題」、「身体筋肉脂肪の減少」、「主食減少」、「主菜減少」、「牛乳・乳製品少ない」などの解決すべき課題が多いことが明らかになった。さらに、「低栄養の自己チェック表」の総チェック数が5個以上(自立者の約2割、軽度者の約5割が該当)において、低栄養リスクに対する感度、特異度及び有効度が高くなり、当該チェック表は、低栄養の恐れのある者の栄養スクリーニングとしての活用が可能であった。
結論
本年度は、介護予防のための地域支援システムにおける適正な栄養改善サービスの提供においては、「低栄養の自己チェック表」及び体重、健診時の血清アルブミン等によって、簡便に低栄養状態にある者やその恐れのある者の把握が可能であることが明らかになった。2年目には、栄養スクリーニングの方法を完成させるとともに、介護予防のための地域支援事業の一環として提供できる低栄養状態の予防・改善システムを作成し、介入研究によってその有効性を検証する。

公開日・更新日

公開日
2005-04-11
更新日
-