文献情報
文献番号
200400262A
報告書区分
総括
研究課題名
安全でおいしい新嚥下補助食を利用した家庭や介護施設における食事介助の在り方に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
山田 好秋(新潟大学大学院 医歯学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
- 林 孝文(新潟大学大学院 医歯学総合研究科)
- 城 斗志夫(新潟大学農学部 応用生物化学科)
- 植田 耕一郎(日本大学歯学部)
- 新井 映子(静岡大学教育学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
7,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は要介護者が「安全」で「おいしく」食べられる嚥下食の開発と医学的知識を持たない介護者に配布する食事介助のマニュアル作成を目指した基礎研究である。初年度は小麦タンパクのグルテンを構成するグリアジンとグルテニンの混合比率を調整し嚥下に適した物性を求めること、ならびに食塊動態検査に主体をおき研究室レベルで実施した。食塊動態の検査に関しては介護の現場での使用を考慮し、被曝ならびに可搬性を可能とする超音波検査法を検討した。
研究方法
嚥下補助食の開発にあたっては申請時の計画通り小麦タンパクのグルテンをベースとした食材の基本設計を行った。グルテンの分離に関しては従前の方法に従った。本年度は純粋のグリアジン・グルテニンを分離することから始めた。次にグリアジン・グルテニンの配合比率をいずれか一方、1:1、1:2 それぞれに調整し、これを使ったクッキーを試作した。試験食品の凝集性・破断性をテクスチャーメータで求め、同時に健常者に咀嚼・嚥下を行わせ、官能検査を実施した。
超音波診断装置は、可搬型のSonoSite社製 TiTANを使用した。探触子には、専用の10-5 MHz電子リニアプローブを使用した。皮膚面と音響カップリング材、音響カップリング材と探触子との間には適量のエコーゼリーを塗布し、舌骨が視野の中央付近となるように矢状断にて撮像面を設定し、嚥下運動を記録した。
超音波診断装置は、可搬型のSonoSite社製 TiTANを使用した。探触子には、専用の10-5 MHz電子リニアプローブを使用した。皮膚面と音響カップリング材、音響カップリング材と探触子との間には適量のエコーゼリーを塗布し、舌骨が視野の中央付近となるように矢状断にて撮像面を設定し、嚥下運動を記録した。
結果と考察
グリアジンとグルテニンの調整方法を検討した結果、最終的に確立した方法によりグルテン1 gから約200 mgのグリアジンとグルテニンが得られた。これらのタンパク質を電気泳動的に分析し、各試料とも特徴的な分子量が確認できた。研究初期には伸展性を特徴とするグリアジンのみで構成することでよりよい物性が付与できるものと予想したが、グリアジンとグルテニンの配合比率が1:2のクッキーが総合評価でもっとも高い値を示した。嚥下咽頭相の食塊動態観察には問題が残るものの、嚥下口腔期の食塊動態をある程度とらえることができた。
結論
グルテンをグリアジンとグルテニンに分離し、嚥下補助食として最適な配合比率を見いだすことに成功した。超音波診断装置は可搬性があり、マニュアルを整備することで次年度から本格化する新嚥下補助食の口腔内動態評価が介護の現場で可能である。
公開日・更新日
公開日
2005-04-11
更新日
-