生体の持つストレス応答機能を利用した老化制御、予防研究

文献情報

文献番号
200400261A
報告書区分
総括
研究課題名
生体の持つストレス応答機能を利用した老化制御、予防研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
磯部 健一(名古屋大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 丸山光生(国立長寿医療センター 実験動物)
  • 祖父江元(名古屋大学 医学部)
  • 中島日出夫(金沢大学 医学部)
  • 長谷川忠男(名古屋大学 医学部)
  • 小阪憲司(医療法人さわらび会福祉村病院)
  • 赤津裕康(医療法人さわらび会福祉村病院)
  • 木内 一壽(岐阜大学 工学部)
  • 高橋雅英(名古屋大学 医学部)
  • 林 登志雄(名古屋大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
17,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
老化促進ストレスに対し、生体は細胞レベルで、シグナル伝達系、遺伝子発現制御を介し反応し、老化を正負に調節する。細胞レベルではラジカル消去酵素、遺伝子修復系が老化防御に働く。一方生体はマクロファージ系の細胞が酸化蛋白、凝集蛋白等を貪食し、引きつづく免疫反応により、様々な病態を形成する。本研究では1)放射線、紫外線、感染ストレス、代謝によって産生される活性酸素の制御2)放射線、薬剤、活性酸素によるDNA損傷の修復促進 3)老化による変異成分、A-beta等凝集ペプチドがマクロファージ系にとりこまれ、それによって生じる病態に対し、免疫系を実験的に操作することで、老化を防御する方策を見い出す。これらにより、老化による様々な老年病疾患(動脈硬化、アルツハイマー病、糖尿病、慢性関節疾患等)の予防策を研究すると同時に老化そのものの制御策を検討する。
研究方法
ラット、マウスの脳を取りだし、in vitroで機械的に分離し培養した。また、マウスのミクログリア株はRa2、ヒト神経培養細胞(SHSY5Y)を使用した。普通の培養の他、低酸素刺激のため1% O2 + 5% CO2 + 94% N2 を使用した。
細胞抽出液のウエスタン解析で、シグナル伝達系を検索した。また、RNAを取り出し、RT-PCRを行った。また、網羅的解析のため、刺激前後のサンプルで、マイクロアレイを行った。
結果と考察
磯部はAbeta は分離ミクログリア、 Ra-2細胞株共に強く刺激し、PI3/Akt、Erk系の活性化を引き起こし、マクロファージ細胞に特徴的なケモカイン産生を誘導することを見い出した。木内は低酸素培養neprilysin活性が低下し、Ab__の分解が抑制されて神経変性を引き起こしている可能性を示した。祖父江はアンドロゲン受容体(AR)トランスジェニックマウスへのHsp90阻害剤の投与により濃度依存性に変異AR蛋白が著減し、Hsp70やHsp40の発現も増加することを見い出した。
結論
老化促進ストレス刺激により生体の蛋白をはじめとする様々な変異分子に対し、生体が反応する仕組みを明らかにするため、この研究班を立ち上げた。特に変異蛋白によって発生するアルツハイマー、CAGリピート病に関して、前者はA-betaに対するミクログリアの反応として、後者はHSPの変性蛋白保護作用として新しい発見があった。

公開日・更新日

公開日
2005-04-11
更新日
-