介護予防を目的とする基本健康審査標準方式を策定するための疫学的研究

文献情報

文献番号
200400255A
報告書区分
総括
研究課題名
介護予防を目的とする基本健康審査標準方式を策定するための疫学的研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
安田 誠史(高知大学 医学部公衆衛生学教室)
研究分担者(所属機関)
  • 安村 誠司(福島県立医科大学 公衆衛生学講座)
  • 大原 啓志(高知大学 医学部 公衆衛生学教室)
  • 西永 正典(高知大学 医学部 循環・神経・加齢内科学)
  • 植木 章三(東北文化学園大学 医療福祉学部 スポーツ医学)
  • 奥宮 清人(総合地球環境学研究所)
  • 渡辺 修一郎(桜美林大学院 国際学研究科 老年学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
11,100,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
老人保健法による基本健康診査で、要介護状態となるリスクが高い者を同定し、ハイリスク者に対する事後指導を、介護予防事業と連携させる方策を検討している。本年度は、要介護状態となるリスクが高い者を同定するのに適した身体、精神、社会的機能測定および血液検査を、客観的機能測定と、質問紙調査に分けて検討した。そして、健康診査方式での機能測定によって、要介護となるリスクが高い者を同定する妥当性を明らかにした。
研究方法
高齢者の身体、精神、認知、社会の各機能的健康水準を評価するために、地域で簡便に実施できる測定調査項目を、各項目と生活機能レベルとの関連を検討する横断研究を実施して選定した。研究実施地域は、高知県、宮城県、福島県、新潟県の15市町村で、研究対象者は、65歳以上者10,669名であった。
結果と考察
客観的機能測定では、握力、アップ&ゴーテスト、Mini-Mental state examinationの3項目が最小限必要な項目であった。また、長座位立ち上がり時間が、平衡能と歩行機能を反映し、簡便に実施できる検査であることを明らかにした。質問紙調査で最小限必要な項目は、過去一年間の入院、身体機能2項目(15分歩行、前屈動作)、老研式活動能力指標知的能動性尺度の4項目、高齢者うつスケールの2項目(無力感、家の中の方が好き)、老研式活動能力指標社会的役割尺度の4項目、外出頻度、過去一年間の転倒、トイレの失敗、計16項目であった。これに老研式活動能力指標手段的自立の5項目、自覚的視機能、障害老人と痴呆性老人の日常生活自立度判定基準に基づいた質問を加えた質問紙調査票を提案した。血液検査では、ヘマトクリット値と血清コレステロール値に加え、低栄養状態の指標として血清アルブミン値の測定が必要なことを指摘した。客観的機能測定と質問紙調査を組み合わせて実施する健康診査方式の機能測定によって、要介護状態となるリスクが高い者を選定した結果は、在宅介護支援センタースタッフによる、実態把握情報に基づく判断を、感度80%、特異度84%で検出できた。健康診査方式による要介護となるハイリスク者の同定は、妥当なスクリーニングと考えられた。
結論
基本健康診査を、介護予防に有効な診査とするために、機能的健康評価に有用で、地域で簡便に実施できる、客観的機能測定と質問紙調査の項目を選定した。健康診査方式による要介護ハイリスク者の同定は、在宅介護支援センターによる実態把握が困難な地域では、スクリーニングとして有用だと考えられた。

公開日・更新日

公開日
2005-04-18
更新日
-