アドレノメジュリンを用いた循環器疾患の画期的治療法の開発

文献情報

文献番号
200400245A
報告書区分
総括
研究課題名
アドレノメジュリンを用いた循環器疾患の画期的治療法の開発
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
宮武 邦夫(国立循環器病センター(心臓血管内科))
研究分担者(所属機関)
  • 宮崎 俊一(国立循環器病センター(心臓血管内科))
  • 永谷 憲歳(国立循環器病センター(再生医療部))
  • 寒川 賢治(国立循環器病センター(生化学部))
  • 中尾 一和(京都大学大学院医学研究科 臨床病態医科学)
  • 北村 和雄(宮崎大学医学部 第一内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 基礎研究成果の臨床応用推進研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
47,423,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
アドレノメデュリン(AM)は心血管保護効果を有する内因性血管拡張ペプチドであり難治性循環器疾患に対する画期的な治療薬として期待される。我々はその臨床応用のため遺伝子改変動物・病態モデル動物を用いた前臨床研究を行い、さらにはAM発見者である寒川が有する基本特許を生かして心筋梗塞・心不全・脳血管疾患・肺高血圧治療に対する多施設共同の臨床研究を実施し安全性と有効性を検証する。
研究方法
心筋梗塞治療に関する基礎的研究としてラット心筋梗塞モデルを用い短時間AM静注による虚血再灌流障害の抑制効果とそのメカニズムを検討した。また臨床応用を開始し初回心筋梗塞症例6人を対象にAM投与の安全性を検証した。心不全治療に関し心筋梗塞モデルを用いAMによる心筋リモデリング、心機能、予後改善効果を検討した。脳血管疾患治療についてはAM過剰発現トランスジェニックマウスを開発し、同マウスにおいて脳梗塞モデルを作成し脳虚血に対するAMの作用について検討した。肺高血圧治療に関し原発性肺高血圧症例を対象にジェットネブライザーを用いたAM吸入療法を行い安全性と有効性を検証した。
結果と考察
我々は動物実験モデルを用いて心筋梗塞急性期のAM投与が虚血心に対し保護的に作用することを明らかにし、これらの結果を基に臨床応用を開始し、心筋梗塞急性期症例にAMを静脈内投与することの安全性と治療薬としての可能性を示した。今後はパイロット研究の結果を無作為化二重盲検試験で検証していく。一方、我々はAMが虚血脳において血管再生作用・神経保護再生作用を有することを明らかにした。今後は投与法や至適容量の設定等の基礎的検討を重ねる必要がある。我々が開発したジェットネブライザーを用いたAM吸入療法は原発性肺高血圧症例の肺血管抵抗を低下させ運動耐容能を改善させた。今後はさらに治療効果を達成するためAMの徐放剤の開発が必要である。
結論
我々はAM投与が急性心筋梗塞に対する画期的治療法となる可能性を示し少数例ではあるが急性心筋梗塞患者に対する臨床応用を開始した。またAMの肺高血圧軽減効果に関する探索的臨床研究を実施した。遺伝子改変動物を用いてAMが虚血脳において血管再生作用ならびに神経保護再生作用を発揮することが明らかとなり、新たな脳梗塞治療法となる可能性が示唆された。来年度は、前臨床・臨床試験にてAM投与の安全性と有効性のさらなる検討を行っていく予定である。

公開日・更新日

公開日
2005-04-13
更新日
-