文献情報
文献番号
200400240A
報告書区分
総括
研究課題名
内視鏡的脳神経手術用超小型レーザースキャナーの開発
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
芳賀 洋一(東北大学先進医工学研究機構)
研究分担者(所属機関)
- 伊関 洋(東京女子医科大学 大学大学院医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 基礎研究成果の臨床応用推進研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
42,250,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
脳神経手術において腫瘍を除去する際に、周辺の正常組織を傷つけずに、精密に3次元的に除去する技術が求められている。また、開頭せずに内視鏡的に手技が行えることが望ましい。光ファイバーを体内に挿入しレーザー光を導入し、組織に照射して切開、蒸散、癒合を行う治療が行われているが、光ファイバーのコア径よりも小さな照射は難しい。光ファイバー先端にレンズを置いて集光し照射範囲を小さくすると、位置決めが難しくなり実用的でない。光ファイバーを用いて体内へ導いたレーザー光を、マイクロレンズを用いてスポット径を小さくし、2次元マイクロスキャナーを用いて体内で走査できれば、患部を精密に治療できる。さらに光ファイバー、マイクロレンズおよびスキャナーを組み合わせた全体の大きさを外径2 mm程度の円筒にパッケージングできれば、内視鏡の鉗子口を通して体内患部へ自在に導くことができる。この目的のために、圧電駆動の2次元マイクロスキャナーを微細加工および微細組立技術を駆使して開発している。
研究方法
幅0.44 mm、長さ7.0 mmの圧電ユニモルフカンチレバーが並列に三本並び、その先端にガラスボールが固定してある。また、レーザーを反射し走査するための、厚さ200 μm、直径1 mmのシリコン製ミラーがその下に位置する。ミラーは裏側から軸頭に支えられている。圧電ユニモルフに電圧を印加するとカンチレバーが下向きにたわみ、ミラー周辺部3点を下に押すことによりミラーを2次元に傾け、レーザーを走査する。3本の圧電ユニモルフを平行に並べることで大きな変位を確保しながらデバイス全体を小さくすることができる。圧電ユニモルフカンチレバーはユニモルフ板をレーザー加工し、ミラーはMEMS技術を用いて加工した。
結果と考察
試作した2次元マイクロスキャナーを用いて30°の最大傾き角が得られ、KTPレーザーをスキャナーに入射し、スポット径100 μm程度で2次元走査を実現できた。外径3.8 mmのテフロンチューブ内に2次元マイクロスキャナーをパッケージングした。今後、摘出組織へのレーザー照射と動物実験に着手し、その結果をもとに再設計と試作を行う。
結論
体内で精密な治療を行うための2次元マイクロスキャナーを試作し、レーザー走査を確認した。今後、光コヒーレンストモグラフィー(OCT)による観察装置を組み合わせ、体内における精密な3次元形態観察も試みる。
公開日・更新日
公開日
2005-04-28
更新日
-