WT1癌抗原ペプチドを用いた癌の免疫療法の開発

文献情報

文献番号
200400235A
報告書区分
総括
研究課題名
WT1癌抗原ペプチドを用いた癌の免疫療法の開発
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
杉山 治夫(大阪大学大学院 医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 川瀬 一郎(大阪大学大学院 医学系研究科)
  • 野口 眞三郎(大阪大学大学院 医学系研究科)
  • 松田 暉(大阪大学大学院 医学系研究科)
  • 門田 守人(大阪大学大学院 医学系研究科)
  • 村田 雄二(大阪大学大学院 医学系研究科)
  • 奥山 明彦(大阪大学大学院 医学系研究科)
  • 吉川 秀樹(大阪大学大学院 医学系研究科)
  • 吉峰 俊樹(大阪大学大学院 医学系研究科)
  • 田野 保雄(大阪大学大学院 医学系研究科)
  • 久保 武(大阪大学大学院 医学系研究科)
  • 福澤 正洋(大阪大学大学院 医学系研究科)
  • 中村 仁信(大阪大学大学院 医学系研究科)
  • 畑澤 順(大阪大学大学院 医学系研究科)
  • 上甲 剛(大阪大学大学院 医学系研究科)
  • 青笹 克之(大阪大学大学院 医学系研究科)
  • 安川 正貴(愛媛大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 基礎研究成果の臨床応用推進研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
50,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
改変型WT1ペプチド(CYTWNQMNL)3.0mg/body、毎週1回、計12回の投与の安全性(第Ⅰ相)と有効性(第Ⅱ相)を明らかにすること
研究方法
(1)WT1を発現している白血病及び固形癌
(2)HLA-A*2402
(3)年齢16-80才
(4)PS 0-2
(5)他に治療法がないか、本人が希望した患者
に対して改変型WT1ペプチドをMontanide ISA51アジュバントとともに3.0mg/body、週1計12回、皮内注射した。
結果と考察
合計59人の癌患者にWT1ワクチンを投与した。内訳は、呼吸器癌8人、消化器癌11人、乳癌7人、脳腫瘍(グリオブラストーマ)8人、骨・軟部腫瘍6人、婦人科癌6人、腎癌1人、血液悪性疾患12人。第I/II相臨床試験の、第Ⅰ相部分に登録された適格患者10例の解析を行い、本投与スケジュールによる改変型WT1ペプチド免疫療法の安全性を評価した。第Ⅰ相に関する安全性評価期間として定められた治療開始以後4週間以内において、NCI-CTC基準によるGrade 3あるいは4の毒性発現は観察されていなく、WT1ペプチド毎週投与療法の安全性が確認され、第Ⅰ相臨床試験を終了した。臨床的有効性については肺癌では12回の投与を終了した肺癌(腺癌)2例中2例がSD。WT1ワクチン投与中の肺癌(扁平上皮癌)2例中1例がSDで、1例がPD。胸腺癌1例はSD。乳癌では第Ⅰ相臨床試験から第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験に移行した1例では2年以上にわたり、long SDである。WT1ワクチンの12回の投与が終了した2例中1例はPRで、1例はPDであった。その他の4例は12回終了前にPDであった。
現在、多くの患者はPS 0-2であってもPS3に近い進行癌の人が多く、今後は、PS 0-1にしぼり、臨床的有効率の上昇をはかりたい。現在アジュバントとして、モンタナイドアジュバントを使っているが、IFN、GM-CSF、CpG、BCG-CWSなどのアジュバントを使えば、より高い臨床効果が得られるものと考えられる。
結論
①改変型WT1ペプチド3.0mg/body、毎週1回の投与は、安全性に問題がない。
②WT1ワクチンを投与された進行癌患者にPR症例やSD症例が出現し、WT1ワクチンの臨床的有効性がconfirmされつつある。グリオブラストーマに対しては、特に臨床効果が高いと考えられる。

公開日・更新日

公開日
2005-04-13
更新日
-