副作用発現回避を目的とした代謝物発現プロファイル及び薬剤反応性遺伝子の解析

文献情報

文献番号
200400218A
報告書区分
総括
研究課題名
副作用発現回避を目的とした代謝物発現プロファイル及び薬剤反応性遺伝子の解析
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
平塚 真弘(東北薬科大学(臨床薬剤学教室))
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 萌芽的先端医療技術推進研究【トキシコゲノミクス分野】
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
4,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
シロスタゾール投与患者において、同薬物の代謝に影響を及ぼす薬剤反応性遺伝子(CYP3A4、CYP2B6、RXRα)の新規SNPが存在するか否かを検討した。また、シロスタゾールの体内動態を末梢血(白血球)中に存在する薬剤反応性遺伝子(CYP3A4、CYP3A5、CYP2B6、RXRα、MDR1) mRNA量を定量することで予測可能か否かを検討した。
研究方法
シロスタゾール投与患者と健常人ボランティアのゲノムDNAを鋳型として、CYP3A4、CYP2B6、RXRαのエキソン領域における新規SNPをダイレクトシークエンス法およびDenaturing HPLC法によりスクリーニングした。次に、シロスタゾールの体内動態と異所性mRNA発現の相関解析を行った。末梢血から常法に従い総RNAを抽出し、リアルタイムRT-PCR法により、CYP3A4、CYP3A5、CYP2B6、RXRα及びMDR1のmRNA量を定量した。それらの異所性mRNA量を血中のシロスタゾール濃度、主要代謝物OPC-13015及びOPC-13213濃度、代謝物/親化合物比との間で統計学的解析を行い、相関性の有無を評価した。
結果と考察
今回採取されたシロスタゾール投与患者由来のDNA検体からはCYP3A4、CYP2B6、RXRαのエキソン領域において、新規SNPは見いだされなかった。しかし、対照群として用いた健常人ボランティアの検体より、CYP2B6のアミノ酸置換を伴う新規SNPを3種(1375A>G (Met459Val)、1427G>A (Gly476Asp)、1454A>T (Gln485Leu))を見いだした。次に、シロスタゾールの体内動態と異所性mRNA発現の相関解析について、末梢血におけるCYP3A4、CYP3A5、CYP2B6、RXRα及びMDR1のmRNA量は血中シロスタゾール濃度、OPC-13015濃度、OPC-13213濃度、代謝物/親化合物比のすべてにおいて、相関性は認められなかった。
結論
抗血小板薬シロスタゾール投与患者47名のDNA検体からは、同薬剤の体内動態に影響を及ぼすと考えられる薬剤反応性遺伝子(CYP3A4、CYP2B6、RXRα)の新規SNPは検出されなかった。また、末梢血中CYP3A4 mRNA量を薬物動態予測や副作用発現予測のサロゲートマーカーとして用いることは非常に困難であることが示唆された。

公開日・更新日

公開日
2005-04-13
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2006-02-03
更新日
-

文献情報

文献番号
200400218B
報告書区分
総合
研究課題名
副作用発現回避を目的とした代謝物発現プロファイル及び薬剤反応性遺伝子の解析
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
平塚 真弘(東北薬科大学(臨床薬剤学教室))
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 萌芽的先端医療技術推進研究【トキシコゲノミクス分野】
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
CYP3A4の基質薬物である抗血小板薬シロスタゾールをモデル薬物として、その代謝物プロファイルや副作用発現に影響を及ぼす薬剤反応性遺伝子のSNP解析及び異所性mRNA定量解析を行う。このことにより、CYP3A4で代謝される薬物の体内動態がどのような因子により影響を受けるかが明らかとなり、薬剤効果や副作用発現予測を支援できるものと考える。
研究方法
シロスタゾールの血中代謝物プロファイルを解析するために、HPLCを用いた定量システムを構築した。分析対象物質はシロスタゾールの他に主要代謝物OPC-13015及びOPC-13213とした。SNP解析対象遺伝子はシロスタゾール代謝に関与すると考えられるCYP3A4、CYP3A5、CYP2B6、HNF1、HNF4A、PXR、RXRα、RXRβ、RXRγ遺伝子の251箇所のSNPとした。得られたSNP情報は個人の薬物動態パラメーターとの間で統計学的解析を行った。次に、CYP3A4、CYP2B6、RXRαのエキソン領域における新規SNPをスクリーニングした。次に、シロスタゾールの体内動態と異所性mRNA発現の相関解析を行った。
結果と考察
シロスタゾール既投与患者47人の薬物血中濃度には顕著な個人差が確認された。副作用を呈した症例が少なかったため親化合物や代謝物の血中濃度と副作用の相関性の解析することはできなかった。OPC-13015代謝に影響を及ぼす因子としてはRXRα、RXRγ及びHNF4遺伝子のSNPが見いだされた。OPC-13213代謝にはCYP2B6遺伝子型が関連していた。シロスタゾール投与患者由来のDNA検体からはCYP3A4、CYP2B6、RXRαのエキソン領域において、新規SNPは見いだされなかった。しかし、対照群として用いた健常人ボランティアの検体よりCYP2B6のアミノ酸置換を伴う新規SNPを3種見いだした。末梢血におけるCYP3A4、CYP3A5、CYP2B6、RXRα及びMDR1のmRNA量は血中シロスタゾール濃度、OPC-13015濃度、OPC-13213濃度、代謝物/親化合物比のすべてにおいて、相関性は認められなかった。
結論
シロスタゾールの体内動態には著しい個人差が存在することが明らかになった。また、末梢血中CYP3A4 mRNA量を薬物動態予測や副作用発現予測のサロゲートマーカーとして用いることは非常に困難であることが示唆された。

公開日・更新日

公開日
2005-04-13
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2006-02-03
更新日
-